【天皇賞・春】ジャスティンパレス差し切った新王者誕生 ルメール3勝目「直線でエンジョイ」
2023年5月1日 04:50 約2年5カ月の整備工事を終え、センテニアル・パークとして生まれ変わった京都で最初のG1「第167回天皇賞・春」が30日、17頭で争われた。クリストフ・ルメール(43)騎乗のジャスティンパレスが差し切り、6度目のG1挑戦で初制覇。鞍上は19&20年フィエールマンの連覇以来、天皇賞・春3勝目。ディープインパクト産駒は11年から13年連続のJRA・G1Vを決めた。なお、1番人気タイトルホルダーは2周目の3コーナー付近で失速、競走中止となった。
生まれ変わった京都に4万5580人のファンが駆けつけた。記念すべき最初のG1を制したのは淀が似合うディープインパクト産駒。ジャスティンパレスが初のG1タイトルを手に入れた。予想通り、序盤は先陣争いが激しくなった。中団で完璧に折り合う。最内枠ながら、向正面では外めへ誘導。スムーズに運ぶ。2周目の3コーナーで先頭を走るタイトルホルダーが馬群に沈む。場内がどよめく。波乱が起きた名物3コーナーの坂越えで、Vシナリオは書き上がっていた。直線は外から颯爽(さっそう)と、末脚を繰り出して差し切った。天皇賞・春3勝目となったルメールが興奮気味に口を開く。
「競馬はショー。アトモスフィア(雰囲気)が必要ですね。新しい京都にたくさんのお客さんが来てくれた。ファンファーレの時に声が聞こえた。それが気持ち良かった。馬自体は凄くリラックスして走っていました。長い距離のレースは冷静さが必要。うまく外に出せたし(2周目の)3、4コーナーでは勝つ自信がありました。直線はずっとエンジョイしました」と語った。
ヒーローインタビューでは「新しい京都競馬場、どうです?」とファンに問いかけるシーン。場内から拍手が聞かれると「僕にとっても凄くいいです!」と笑顔がはじけた。新生京都に歴史を刻んだジャスティンパレスは夏と冬の放牧を踏んで、確実に成長を遂げた。前走の阪神大賞典はプラス16キロと馬体重が増えた。パワーアップを感じて、前哨戦をV。血統背景からも長丁場が向く。そんな杉山晴師の見立てもはまった。
「素晴らしいスタートを切ってくれましたね。折り合いもついていたので、安心して見ていました。終始、手応えは抜群でした。京都は調教助手の時に稽古をつけていたスリーロールスで菊花賞(09年)を勝たせてもらい、調教師としてデアリングタクトで3冠(20年)を達成できた場所。デアリングタクト以来のG1を、新しい京都で勝ててうれしいです」
ディープインパクト産駒は父サンデーサイレンス産駒に並ぶJRA・G171勝目となった。同産駒は現3歳がラストクロップ。キタサンブラック産駒が隆盛を見せる中、まばゆい存在感をアピールする。今後は未定ながら、まだまだ明るい未来が詰まっている。日本近代競馬の結晶とも謳(うた)われた父を追ってスター街道を突き進んでいく。
ジャスティンパレス 父ディープインパクト、母パレスルーマー(母の父ロイヤルアンセム)19年4月12日生まれ 牡4歳 栗東・杉山晴厩舎所属 馬主・三木正浩氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績10戦5勝(重賞3勝目)総獲得賞金4億3466万6000円 馬名は冠名+母名の一部。