【ヴィクトリアM】イズジョーノキセキ泉一郎オーナー、インタビュー延長戦「馬主になるために起業」

2023年5月10日 05:20

イズジョーノキセキ・泉一郎オーナー(撮影・亀井 直樹) 

 G1出走関係者に迫る企画「時の人」はヴィクトリアマイル(14日、東京芝1600メートル)にイズジョーノキセキ(牝6=石坂)を送り出す泉一郎オーナー(67)にスポットを当てた。紙面に掲載できなかったインタビューの延長戦をお届けする。

 ――競馬と出合ったきっかけは。
 「生まれは香川県の善通寺市で父はサラリーマン、競馬とは縁のない家庭でした。小学校からは京都。父は競馬が好きで、手を引いて競馬場へ連れていってもらっていました。好きな番号を言いなさいって言われて、父は100円で買っていましたが、それが当たると配当をくれたんですよ。300円、400円でも、その当時は大きなお金でしたからね。うれしかったです」

 ――そこから馬への興味が膨らんでいく。
 「馬に触りたい、乗りたいとなって亀岡の大井町にある乗馬クラブに入りました。毎週、自転車で通っていました。大学に入る前は、北海道の牧場でアルバイトをした経験もあります」

 ――馬主への思いが湧き始めたのは。
 「20歳くらいから思っていました。馬主になるためにはどうしたらいいか逆算して。会社勤めをしているのではなれないと分かって、起業するしかないと思って起業しました。最初は地方競馬から入りました。地方の免許を取って主に園田で走らせていました。園田は隅から隅まで知っていますよ」

 ――中央で初めて馬を所有した時の気持ちは。
 「競馬の知識はあったので、繁殖牝馬を買ったんです。一口馬主の経験はゼロ。一頭まるまる持つのが僕のポリシーで、最初に持った馬はカミツキ(昴ホースクラブ名義)。高揚しましたね。忘れもしないです。その1歳下の妹がユメイッポ。買ってきたお母さんの2番子にゴールドアリュールを付けました。父は初年度産駒です。中央で4つ勝ちました。最初にポンポンと勝ち上がったんですけど、そこからが長い旅の始まりですね(笑い)」

 ――初年度産駒が好みという話も出た。
 「初年度の種馬との相性がいいんですよ。今年の2歳にはサンダースノー産駒(イズジョーゴモリー)が北出厩舎にいます。初年度産駒は値段もリーズナブルですし、どう化けるか分からないので好きですね」

 ――イズジョーノキセキは3勝目を挙げてから、次の1勝まで少し時間がかかった。
 「2走目で未勝利戦を勝ってから、一昨年のマーメイドS(7着)までは掲示板を外していません。ただ、少し運がない感じで大きいレースになると雨馬場とかアンラッキーな面があった。雨が駄目なんですよね。何とか流れを変えたいなと思って、金沢の尾山神社という馬の神様がいる神社に行きました。その後のエリザベス女王杯は5着。落鉄があったのに5着まで来たので、これは走ると改めて思いました」(終わり)

 ◇泉 一郎(いずみ・いちろう)香川県出身の67歳。小学校の頃に京都へ移り、父親に連れられ競馬場へ。馬への興味が湧いて乗馬クラブに入り、北海道の牧場でアルバイトも経験。龍谷大卒。大学時代は野球部でピッチャー。20歳の頃に馬主へのビジョンを描き、起業を志す。会社勤務を経て85年に京都で不動産会社「ハウスプラザ」を設立。現在、代表取締役。地方競馬の馬主資格も所有、兵庫県馬主協会の常務理事を務める。

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