【追憶のヴィクトリアM】09年7馬身差圧勝のウオッカ 牝馬同士のG1は意外にも久々の勝利だった

2023年5月10日 07:00

09年のヴィクトリアMを圧勝したウオッカ

 20年アーモンドアイ、21年グランアレグリア、22年ソダシ。近年のヴィクトリアマイルは傑出した名牝がタイトルを積み増すG1となっている。今年がどうなるかはひとまず置くとして、「名牝のためのヴィクトリアマイル」の先駆けと言えるのが09年。G1を既に4勝しているウオッカが出走。前年も出走していたが、エイジアンウインズの絶妙な運びにしてやられる2着。雪辱を期す09年は、ジュベルハッタ5着、ドバイデューティフリー7着と結果が出なかったドバイ遠征帰りだったが、ファンは単勝1・7倍と熱烈に支持した。

 そしてレースでは、ウオッカがまさしく女王然として力の違いを見せつけた!

 ショウナンラノビアが逃げて前半1000メートル58秒6。遅くはないが、時計の出る馬場状態としては平均的で、脚がたまる前有利のペース。ウオッカは好位5番手からレースを進める。直線に入り、まだ残り400メートルの地点で、鞍上の武豊騎手にエスコートされたウオッカは早々と先頭に躍り出る。場内のボルテージは最高潮に達した。1馬身、2馬身…。後続との差は一瞬で開き、終わってみれば2着ブラボーデイジーに7馬身差の圧勝劇。新賞金女王誕生の豪快なフィニッシュに5万観衆が酔いしれた。

 人馬ともに、あのダイワスカーレットと「2センチ差の死闘」を制した昨秋の天皇賞以来のG1勝利。ドバイの敗戦ショックを乗り越え、22年連続G1制覇を飾った武豊が満足げに語った。

 「気持ちが良かった。いろんな意味でホッとしています。昨年の日本のチャンピオンホースだし、出来も今までで一番と思っていたので。ええ、きょうは(天皇賞・秋と違って)勝ったのが分かりました」

 実際、申し分ない騎乗だった。スタートで飛び出した次の瞬間、スッと下げて内の5番手で折り合う。手綱を抑えたまま、迎えた直線はいつでも抜け出せる手応えだった。

 負けられない戦いを勝ち切った角居勝彦調教師の目尻も自然と下がった。「ユタカ君への指示は何もないですよ。完全にお任せ。いいスタートを切って、あの位置で折り合った時点で大丈夫だと思った。ドバイの後もいい体を維持できて、何の心配もなくレースを迎えられた。久しぶりに女の子同士で勝てましたね」

 意外にも、牝馬同士のG1を勝ったのは06年阪神JF以来3年ぶり。ドバイデューティフリー7着後、香港やシンガポール遠征も断念し、国内、それも牝馬同士のこのレースを使う以上、敗戦は許されなかった。前年2着の雪辱もきっちり果たした。「本当に偉い馬です。ますますレースが上手になっている。もう、今のウオッカを維持していくだけ。年内引退になります。お母さんとしての大事な仕事もありますからね」と角居師。

 4年連続5度目のG1制覇で、牝馬のG1・5勝はメジロドーベルと並ぶ歴代1位タイ。牝馬の獲得賞金でも、JRA獲得賞金ではエアグルーヴを、海外含む総獲得賞金ではホクトベガを抜いて歴代1位となった(いずれも当時)。

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