【宝塚記念】イクイノックス貫禄!これが世界一の走り 自己最速ラスト1F11秒3

2023年6月22日 05:30

楽な手応えで併せ馬に先着するイクイノックス

 役者が違う!中央競馬の上半期を締めくくるグランプリ「第64回宝塚記念」(25日、阪神)の追い切りが21日、東西トレセンで行われ、ファン投票1位のイクイノックスが栗東CWコース3頭併せで貫禄の動きを見せた。昨年の天皇賞・秋、有馬記念、今年初戦のドバイシーマクラシックとG1・3連勝中。レーティング世界一に上り詰めた昨年の年度代表馬が万全の仕上がりで凱旋レースを迎える。同レースは22日に出走馬と枠順が決まる。

 世界一の称号にふさわしく注目度も抜群だ。午前5時30分の開門直後、イクイノックスが馬場入りすると報道陣の視線はくぎ付けになった。最終追いは実戦さながらのCWコース3頭併せ。道中は前にブレッシングレイン(6歳障害オープン)、後方にサスツルギ(3歳2勝クラス)を従える形。直線は僚馬2頭の真ん中で仕掛け、馬なりのまま役者が違うとばかりに抜け出し、ブレッシングレインに1馬身、サスツルギに2馬身のリードを取って真っ先にゴールへ。モニターに刻んだラスト1F(200メートル)11秒3は美浦Wコースを含めても自己最速。追えば、もっと時計は詰まっていた。木村師は「ハイペースでなく、馬の後ろでタイトな状況になってもリズムを崩すことがない。道中、脚がたまった状態でエネルギーが前に行くかどうかをテーマにしてやりました」と意図を説明。「道中、折り合っていましたし、それを確認できました。順調です」と納得の口ぶりだった。

 前走のドバイシーマクラシックは衝撃的な勝ち方だった。キャリア7戦目で初めて逃げの手に出て、直線はノーステッキで3馬身半差の圧勝。競走馬の能力を示す上で客観的な指標となるロンジンワールドベストホースランキングはレーティング129ポンドで単独首位に立った。指揮官は「慣れない環境で勝てたことは評価したい。馬もスタッフも頑張ってくれました。世界一、幸せな調教師だなと毎日実感しながら、仕事ができています」と目尻を下げた。

 凱旋レースとなるサマーグランプリは初の関西遠征。いかに態勢を整えるか。「前走は国内でやってきたプロセスとは違ったので、疲れを取るのにも時間がかかりましたし、去年の秋にホームで競馬を使っていた時に少しでも近づけていけるように」と意識し、そのために選択したのが栗東滞在だった。当週の長距離輸送や精神面への影響を考慮し、調整を続けた。美浦を離れても週を追うごとに環境になじみ「不確定要素が彼の中でなくなってきたことで、エネルギーが前に前に、という変化が出てきています」。日々の調教にしても、集中力が増したことで明らかに気配が上向いている。

 ファン投票は歴代最多の21万6379票を獲得し、堂々1位。「非常に重たい数字。軽々しく言葉を発することは難しいです」と気を引き締めた。レースが近づくにつれ、強まるプレッシャー。世界中のホースマン、ファンがパフォーマンスに注目している。国内外でG1・3連勝中。天才と評された昨年の年度代表馬が無双ロードを突き進む。

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