「第43回新潟2歳S」はアスコリピチェーノがデビュー2連勝を飾った。

　1完歩ごとに前との差を詰めるアスコリピチェーノ。トップギアに入った人気馬の走りに、新潟競馬場から大きな歓声が上がる。ラストは逃げ粘るショウナンマヌエラを1馬身突き放した。北村宏は「力があると感じていて人気だなとも思っていた。力を発揮してくれてホッとしています」と、18年関屋記念（プリモシーン）以来、5年ぶりの重賞勝利を静かに喜んだ。

　2戦目で確かな進化を示した。初戦は馬群で動くに動けなかったシーンもあったが、この日は大外12番枠からスッと好位の外へ。リズム良く道中をクリアすると、直線は前に広大なスペースを確保した。待ち受けた日本最長659メートルの直線。勝負どころまでラストスパートを我慢し、鞍上の指示が出ると一気にはじけた。北村宏は「前（の馬）も十分に力を残していると思ったけど、追い出してからは大きなストライドを伸ばしてくれた。この馬の良さを出してくれました」と相棒を称賛した。

　猛暑の中で行われた2歳重賞。大粒の汗を流しながら殊勲の愛馬を迎え入れた黒岩師は「無事を確認できました。この後はいったん放牧に出します。賞金を加算できたので、この後は暮れのG1を目指すことになると思います」と説明。狙いは2歳女王決定戦の阪神JF（12月10日、阪神）になるか。早い時期に成長を促す休養期間に入れるのはこの先で大きなアドバンテージに。名牝ハープスターが優勝した新潟2歳Sからちょうど10年後に誕生した新女王候補。冬の再会が今から待ち遠しい。

　◆アスコリピチェーノ　父ダイワメジャー　母アスコルティ（母の父デインヒルダンサー）21年2月24日生まれ　牝2歳　美浦・黒岩厩舎所属　馬主・サンデーレーシング　生産者・北海道安平町のノーザンファーム　戦績2戦2勝（重賞初勝利）　総獲得賞金3863万4000円。馬名の由来はイタリアの都市名