【チャンピオンズC】セラフィックコール 3歳砂の新星!敗北を知らない極上の末脚
2023年11月29日 05:30 剛脚を信じて、愛を貫こう。前線記者が推したい馬の魅力をアピールするG1ウイークの水曜企画「馬(バ)チェラー」。今週はダート王決定戦「第24回チャンピオンズC」(12月3日、中京)が行われる。大阪本社・小林篤尚(46)はセラフィックコールに熱視線。無傷の5連勝の勢いで砂の猛者へ立ち向かう姿は、何とも引かれる。3つの“ほれポイント”からG1Vの可能性を探る。なお、同レースはあす30日に出走馬と枠順が決まる。
愛は貫いてこそ。連勝馬は負けるまで買い続けろ。そんな競馬格言もある。セラフィックコールはデビューから無傷の5連勝。3つの“ほれポイント”から一気G1初Vへの可能性を探る。
新馬戦から5走全てでラスト600メートルの脚は最速をマークしている。重賞初Vとなった前走のみやこSは36秒1。上がり2位の馬が36秒8、0秒7差をつける極上の決め手を発揮した。寺島師は「ここまで正攻法ではない競馬で勝ってきました。毎回、驚かされるレースばかり。脚力は凄いものを持っています。前走も最後は余裕がありましたね」と振り返った。ラストは必ずや飛んでくる。担当の佐々木助手は車に例えて「加速がスムーズなCVTっていう感じですね。調教でも気づけば時計が出ています。物差しがないので難しいですけど、この相手でも通用していいと思っています」と期待を寄せた。
6月の八王子特別で3勝目を飾った。その後に7月のジャパンダートダービーを使うプランもあったが自重。寺島師は「あそこを使わなかったのが良かったです。あれから馬が変わりましたからね。ゆっくりと休ませて良かったと思います」とひと息入れた効果を感じ取っていた。夏は放牧を挟み、3カ月の休養。佐々木助手は「厩舎ではおとなしいけど寂しがり屋。以前は他の厩舎の馬が鳴いたりすると、つられて鳴いたりして、テンションが上がる面もありました。今は馬房の中でもゆっくりできています。うるさい面が解消されていますね」とメンタル面の成長を口にする。
中3週と詰まった間隔で走るのは初めて。前走後は短期放牧を挟み、先週火曜に栗東トレセンへ帰厩。順調に攻めを消化している。この日は坂路をサッと流した。寺島師は「先週は無理せず予定通り。週末の坂路も動けていました。前走からは短い期間ですけど、いい感じで来られています。前哨戦を勝っていますし、使わない理由もないですからね」とキッパリ。反動の心配はいらない。
寺島厩舎は3日のJBCクラシックでキングズソードがV。開業8年目、厩舎として初のビッグタイトルを手に入れた。25日にJRA通算200勝を達成。佐々木助手は「厩舎に勢いがあるし、流れに乗りたい」と締めくくった。視線は後ろ、ドキドキのゴール前。魅惑の3歳馬が強力な矢をズキュンと射抜く。
《初G1挑戦でも超良血の母系が後押し》セラフィックコールの母系をさかのぼると高祖母(4代母)が80~81年にダート9F(1800メートル)の米G1を4勝したカナダ産の名牝グローリアスソング。種牡馬デヴィルズバッグ、セイントバラードの全姉にあたり、繁殖牝馬としてはラーイ、シングスピール(いずれも種牡馬入り)といった兄弟の母で知られている。日本にも縁があり、孫のダノンシャンティ、玄孫(やしゃご)のヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロスがG1制覇を飾った。
同じく玄孫のセラフィックコールはヘニーヒューズ産駒。父は20~22年と現在3年連続でJRAダートのリーディングサイヤーに輝き、今年も首位を走る。産駒は過去4頭が出走し、16年モーニンと22年スマッシングハーツの7着が最高着順だが今年こそ。母系の後押しがある。
《JRA古馬重賞無敗制覇、過去5頭すべてがG1馬》デビューから無敗で古馬重賞を制した馬はセラフィックコールを含め、グレード制導入の84年以降で6頭いる。過去5頭は全てG1馬。19年覇者クリソベリルは同じく5戦5勝でこのレースを迎えて栄冠をつかんだ。ともに新馬戦から馬体重が優に500キロを超えており、パワフルな馬体で快進撃を見せた。前身のジャパンCダート時代(13年まで)を含め、3歳馬が勝てばクリソベリル以来、4年ぶり6頭目。歴史は繰り返すか。