ジャスパークローネ 米国の悔しさ香港で晴らす
2023年11月29日 10:30 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は栗東取材班の田村達人(31)が担当する。来週に迫った香港国際競走(12月10日、シャティン)の香港スプリントに出走予定のサマースプリント王者ジャスパークローネ(牡4=森秀)にスポットを当てた。米国に遠征した4日のBCターフスプリント12着から川田とコンビ継続で再び海外の強豪に立ち向かう。
来月10日にシャティン競馬場で行われる香港国際競走に出走予定の関西馬はきょう29日午後6時30分の便で関西空港を出発し、香港に向かう。香港スプリントのジャスパークローネは4日の米G1・BCターフスプリント(12着)からの海外連戦。日高助手は「BC出走前の時点で香港の招待を受諾していたのでシャフリヤール(香港ヴァーズ出走予定)と米国に残るプランもあったが、来年はサウジアラビアとドバイにも遠征したい、とのことで状態を確認するのに一時帰国しました」と説明する。
8日に帰国し、JRA競馬学校(千葉県白井市)の国際厩舎に入厩。検疫を終え、着地検査のため滋賀県大津市のチャンピオンヒルズに移動した。日高助手は16日と23日、午前5時から調教にまたがった。「少しでも状態に異常があれば香港はキャンセルまで考えていたが、脚元は大丈夫だったので調教師にOKサインを出しました」。23日午後に阪神競馬場に移って出国検疫。今日の出国まで1頭で調整を進めた。
短期間での海外遠征もそうだが、今年の国内7戦は阪神→中山→新潟→函館→中京→小倉→中山と全国を飛び回った。サマースプリント王者は速さだけでなくケガをしない強じんな体が武器。「改めて振り返るといろいろな競馬場を転々と、そのタフさに驚く。いつもカイバは完食しているし、タイトな日程をこなしているクローネに感謝です」と笑みを浮かべる。
海外遠征に積極的な森秀厩舎は95年香港国際C(当時G2)でフジヤマケンザンが日本馬として香港初勝利を飾った。意外にも香港遠征は96年(香港国際ボウル2着ドージマムテキ、香港国際C9着シーズグレイス)以来となる。日高助手は「これまでフルフラット(20年サンバサウジダービーC1着)など、たくさん海外に行ったけど香港は僕の人生でも初めて。世界的に見てもスプリント路線での香港馬の強さは百も承知だが、いい結果を残して来年につなげたい」と意気込んだ。
来年はサウジアラビアやドバイの他にも下半期はオーストラリアの「ジ・エベレスト」が候補に挙がる。4日にオオバンブルマイが制した1着賞金525万豪ドル(約5億円)の超高額レースであるゴールデンイーグル同様、重賞格付けこそされていないが1着賞金700万豪ドル(約6億6000万円)で23年世界賞金ランキング3位。夢が広がる。まずは香港。応援馬券を購入して、香港スプリントを見届けたい。
◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市出身の31歳。高校卒業後に北海道ケイアイファームへ。育成&生産に携わる。予想スタイルは取材の感触を重視。現地で見届けた昨年の香港国際競走は日本馬の単勝を握りしめて応援。香港ヴァーズを制したウインマリリンで少し懐が温まった。