飯田雄三師 個性派重賞ホース育成「楽しい人生」
2024年2月7日 05:05 今年は東西トレセンで7人の調教師が70歳定年制により3月3日をもって引退する。「さらば伯楽」第2回は栗東の飯田雄三師(70)を取り上げる。01年に厩舎を開業しテイエムサウスダン、ビーアストニッシドなど個性派重賞ホースを育てた。
馬との出合いは酪農学園大学に入ってからだった。「初めて馬を見て、かわいくて凄く奇麗だなと。馬術部の人も見て、始めようと決めた」。大学時代のアルバイトでは道営のゲートや写真判定をする係も経験。「学校には牧場の息子もいたし、こういう仕事があることを教えてもらった」と徐々に興味を持った。
トレセンに入ってからは調教助手として増本豊厩舎に約23年間所属。99年高松宮記念を制したマサラッキにも携わった。印象に残っている馬にはヒシノレビンを挙げる。「準オープン(3勝クラス)まで行ったかな。調教では本当に賢い馬だった。普段は引っ掛からず軽いところを乗れたし、追い切りでは馬がきっちり6Fから15―15(1F15秒ペース)で行って加速していく。馬に教えてもらった」と懐かしんだ。
00年に調教師試験に合格、翌年から厩舎を開業。15年マーチS(マイネルクロップ)でJRA重賞初制覇を飾った。G1はテイエムサウスダンの22年フェブラリーS2着が最高。「G1は勝てなかったけど、未勝利戦でもやっと勝てたという喜びはある。うれしさはどのレースでも一緒だよ」。定年まで残り1カ月。「好きな仕事を50年近く自分の思うようにやって来られたからね。楽しい人生だったと思う」と笑顔で振り返った。
◇飯田 雄三(いいだ・ゆうぞう)1953年(昭28)7月31日生まれ、山口県出身の70歳。77年11月から栗東・増本豊厩舎の調教助手、00年に調教師免許を取得し翌年3月に厩舎開業。JRA通算4798戦320勝、うち重賞は15年マーチS(マイネルクロップ)、22年根岸S(テイエムサウスダン)、スプリングS(ビーアストニッシド)の3勝。