【追憶の共同通信杯】91年イイデセゾン、14戦目での制覇 クラシックでも快走したミスター・タフネス

2024年2月7日 06:45

91年共同通信杯を制したイイデセゾン


 とにかく「タフ」という言葉しか思い浮かばない。91年共同通信杯(当時は共同通信杯4歳S)を制したイイデセゾンはデビューから数えて14戦目で同レースを勝った。

 ここ5年の共同通信杯勝ち馬が、何戦目で制したかを羅列すると、3、4、3、2、4戦目。時代が違うとはいえ、平均値の3倍以上の数字に単純に驚く。

 新馬戦(ダート1000メートル)3着から翌週に連闘。当時は新馬戦に複数回、出走することが可能で、イイデセゾンは実に3度、新馬戦に出走している。

 初勝利は8戦目。この間、連闘が2度。中1週が3度。クラスが上がってからも中2週や中3週の競馬を続け、中京3歳S1着、シンザン記念は2着。そしてついに共同通信杯で重賞を射止めた。

 その共同通信杯。味のある競馬だった。10頭立てで1番人気はアイビーS、府中3歳S、ホープフルS(当時オープン)と3連勝中のサクラヤマトオー。イイデセゾンは後方から2番手を追走。最後方のシャコーグレイドと並ぶように走っていた。

 迎えた4コーナー。イイデセゾンの鞍上・田島良保は外に出さず、馬群突破に懸けた。逃げ粘るハイハーバーを徐々に追い詰める小島太・サクラヤマトオー。残り20メートル付近でついに捉えたと思ったが、そこを外から風のように駆け抜けたのがイイデセゾンだった。

 「あんな乗り方で勝つなんて」とビデオを見て驚いた小島太。勝った田島良とは1965年春に騎手学校を卒業した同期だ。田島良は「うまくハマったね。とにかくうるさいので今後は気性面の成長が課題かな」と語った。

 この共同通信杯優勝でクラシック出走の賞金を得たイイデセゾン。皐月賞は勝ったトウカイテイオーから0秒4差の3着。ダービーもトウカイテイオーから0秒7差の3着に奮闘した。

 なお、この年の冠名「イイデ」(アールエスエーカントリ)は絶好調。ダービーにはイイデセゾン、イイデシビア(9着)、イイデサターン(12着)で3頭出しを果たした。全て大久保正陽厩舎所属。個人馬主のダービー3頭出しは、当時としても快挙だった。

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