【秋華賞】チルカーノ不安一走!我慢の走りで坂路スイスイ、高野師「俊敏な動き」

2024年10月11日 05:30

坂路で追い切るチルカーノ(撮影・亀井直樹)

 奇麗な加速ラップで不安を払拭した。2勝クラスVからG1初挑戦のチルカーノは坂路単走。最初の1F目から15秒9、14秒9、13秒8と徐々にペースを上げる。我慢の利いた走りでスイスイ駆け上がり、4F56秒8~1F12秒2を馬なりで刻んだ。当初の予定は水曜追いだったが直前に発症した鼻出血により木曜にスライド。まさかのアクシデントも内視鏡検査で外傷性(短期間で治る)と診断され、大きな影響はなかった。高野師は「バネがあり、俊敏な動きでした。追い切り後も鼻血は出ていなかったし問題ない」と納得の表情を浮かべる。

 全5戦の最終追いは坂路で新馬戦、2戦目が4F55秒8、3戦目が同57秒0、4戦目が同56秒0、5戦目が同57秒0。全体時計を抑えるのは、いつものパターン。「先週(坂路4F56秒4~1F12秒2)ジョッキー(鮫島駿)が騎乗して中身はできている。G1にチャレンジするには、ふさわしい仕上がりだと思う」と自信を持って送り出す。

 前走は前3頭から大きく離れた好位4番手で折り合った。直線は馬群の外から楽々と抜け出し、古馬を撃破。指揮官は「絶好調とは言えない状態で勝ち切ってくれたのが良かった」と振り返りつつ、「現状は前走のようにリズム良く運び、脚をためる形がいい。本当に良くなるのは、もう少し先だけど(思い描いた通りの)成長曲線に入っている」と充実ぶりを強調した。

 22年皐月賞で名馬イクイノックスや、のちのダービー馬ドウデュースを負かしたG1馬ジオグリフの半妹。母アロマティコは京都G1の12年秋華賞、13年エリザベス女王杯で3着に入った。他にも祖母ナスカの半兄に重賞3勝で05年ダービー2着のインティライミ、06年福島記念&07年七夕賞覇者サンバレンティンと実績馬がズラリ。「まだ半信半疑の部分はあるが、長所は(前走含め)僕らが思っている以上の走りで驚かせてくれる。そういうところは血統から来ている素質なのかも」と期待を寄せた。大きな可能性を秘めている良血馬が初の大舞台で限界を突破する。

 《“牝馬の高野師”重賞27勝のうち17勝》11年に厩舎を開業した高野師はJRA重賞27勝のうち牝馬でG1・5勝を含む17勝と約3分の2を占める。秋華賞は自身がJRA重賞初制覇を飾った14年ショウナンパンドラ、22年スタニングローズで制して2勝。チルカーノと同じハービンジャー産駒で2歳上の厩舎の先輩ナミュールは22年チューリップ賞、昨年の富士S、マイルCSを制した。“牝馬の高野師”を忘れてはいけない。

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