JRA初沖縄出身ジョッキー誕生!上里直汰「まくとぅそーけー なんくるないさー」

2025年2月28日 05:25

サラブレッド生産界初の沖縄出身ブリーダーで北海道浦河「かりゆしファーム」代表の大城一樹氏(左)から激励を受けた上里直汰(かりゆしファーム提供)

 東西の新人騎手7人が3月1日、中山、阪神でデビューする。JRA初の沖縄県出身ジョッキー・上里直汰(17=加藤士)はこの日が18歳の誕生日。中山の土日計8鞍で祝砲打ち上げを狙う。谷原柚希(18=伊藤圭)はJRA14人目、現役では6人目の女性騎手となる。その一方で定年、勇退により8人の調教師がラストウイークを迎える。JRA通算1000勝へ、あと4勝の音無秀孝師(70)は11頭出しで大台到達に挑む。

 まくとぅそーけー なんくるないさー。信じる道に向かって努力を重ねれば必ず報われる、という意味の沖縄を代表する金言である。「その言葉、僕も沖縄で聞かされました。1人だけゼロからのスタートですから努力を重ねるしかないですよ」。上里は美浦トレセンで調教を終えると、心地よさそうに汗を拭った。サラブレッドが数頭しかいない沖縄県石垣島出身。41期生7人の中で唯一、乗馬経験がないまま競馬学校の門をくぐった。「同期生に大差をつけられていたので頑張るしかなかった」。馬にも木馬にも人一倍乗った。柔軟体操、懸垂にランニング…同期生に追いつくために体を鍛え続けた。

 「追いついたかなと実感できたのは1年間の厩舎実習を終えて(昨年)競馬学校に戻ってきた時です。僕は自信を持てない性格ですが、これなら行けると。師匠(加藤士師)のおかげです」。師匠は上里の調教騎乗馬を1頭でも多く確保するため他厩舎に頭を下げて回った。「数を乗らなきゃ上達しない。自厩舎より他厩舎の馬に乗って顔を売り込め!」と気合を入れた。騎手の体をつくるため専属トレーナーも手配した。卒業時の騎乗実技では総合3位。努力賞も受賞した。「最初はどうなるかと心配したが、大半の同期生に追いつくどころか追い抜いちゃった。まだ17歳。体が出来上がっていないので伸びしろも十分」と師匠は言う。

 「日に日に責任を感じます。一生懸命に生産、調教した牧場や厩舎の方々の思いも背負うのだから頑張るしかないです」。今週月曜の全休日には師と共に北海道日高の馬産地に足を運んであいさつ回り。サラブレッド生産界初の沖縄出身ブリーダーで、浦河町かりゆしファーム代表の大城一樹氏に同じウチナーンチュとして激励を受けた。「私が北海道の牧場で働き始めたのも17歳の時だった。なおた~、ちばりよ~」

 中山で2鞍に騎乗する、3月1日は18歳のバースデー。甲子園球児(90年夏準V沖縄水産高の内野手)だった父・直也さん(51)ら親族約20人が沖縄から応援に来るという。「騎乗馬のレースぶりはVTRで見ていますが、出馬が確定したら以前騎乗された先輩の方々に馬の特徴を聞いて回ります」。まくとぅそーけー なんくるないさー。騎手の道に向かって重ねた努力は必ず報われる。

 《中山で土日8鞍調教手応え》今週、上里は中山で計8鞍に騎乗する。「マオノギミックはトモがしっかりして踏み込みが良くなったと聞いています。追い切りの感触も良かったです。シヴァガミは追い切りの動きが今までになく良かった」と手応えを得ていた。

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