【桜花賞】クリノメイ 手綱動かさなくてもラスト1F11秒9好時計 天国の栗本博晴さんに勝利を
2025年4月10日 05:27 牝馬クラシック第1弾「第85回桜花賞」の最終追いが9日、東西トレセンで行われた。チューリップ賞を制したクリノメイは坂路を軽快な脚さばきで駆け上がって好気配。前走と同様、落ち着いて臨めるかが鍵になる。
最後まで静の姿勢を貫いた。桜花賞トライアルのチューリップ賞を制し、勢いに乗るクリノメイは開門直後の坂路で単走。ゆったりした入りから馬なりでスイスイ駆け上がる。残り1Fに入っても乗り手の手綱は動かない。それでもラスト1Fは11秒9の好時計でフィニッシュした。見守った須貝師は「時計を出そうと思ったら出るけど、繊細で敏感な馬。あまりいれ込まないように落ち着きを重視した。動きは良かったし、リラックスして走れていた。前走ぐらいの出来はある」と満足げに切り出した。
昨夏の札幌新馬戦、続く中山のサフラン賞と連勝を飾った。前々走の阪神JFはゲート内で暴れ、まさかの外枠発走。とてもレースに参加できる精神状態ではなかった。スタートから後方のまま14着。父オルフェーヴルで栗毛の牝馬。かわいい見た目に反して、気難しい一面も持っている。
前走チューリップ賞はレース前のパドックから落ち着き、いい雰囲気で臨めた。五分のスタートから好位で折り合い、直線は持ち前の勝負根性を発揮。大混戦のゴール前を鼻差で競り勝ち、重賞初制覇を飾った。初タッグで勝利に導いた酒井は「前のレース(阪神JF)は外枠発走になったけど、そのあたりを厩舎がうまく修正してくれた」と感謝を伝えた上で、「そのおかげでいいスタートが切れて、いいポジションが取れた。インでじっと我慢ができたし凄い勝負根性があります」と素質を評価する。
冠名クリノで知られた馬主・栗本博晴氏は同馬のデビュー目前に死去。新馬戦の馬主名義は博晴氏で、2戦目から栗本依利子氏が引き継いでいる。須貝師は「昨年、亡くなられたオーナーが天国から見守ってくれたら」と熱い思いを口にした。メンタルが乱れ、不完全燃焼だった阪神JFを除けば3戦3勝。相手関係より自分との戦いになる。