【追憶の府中牝馬S】06年ソリッドプラチナム 9番人気の3歳馬、衝撃の決め手!父はステイゴールド

2025年6月18日 06:45

大外から強烈な決め手で06年マーメイドSを制したソリッドプラチナム

 今年から従来のマーメイドSは「府中牝馬S」となり、阪神(たまに京都)2000メートルのハンデ戦から東京1800メートルのハンデ戦へと様変わりした。従来の府中牝馬Sは「アイルランドトロフィー」として引き続き、秋の東京の牝馬G2戦として行われる。

 ということで今回は「追憶の府中牝馬S」のタイトルで、過去のマーメイドSを取り上げたい。配当的インパクトも大きく、間違いなく名物レースだったマーメイドS。紹介するのは06年優勝馬ソリッドプラチナムだ。

 「荒れるマーメイドS」のイメージを最初につけたのは、この馬で間違いない。それまではエアグルーヴ(97年)、エリモエクセル(99年)、アドマイヤグルーヴ(04年)などG1ホースの優勝も多かった。

 06年からハンデ戦に変更されたことは理由として大きいが、14頭中9番人気に過ぎなかったソリッドプラチナムのVは衝撃だった。

 残り100メートルを切ってからの攻防はすさまじかった。逃げ粘るマイネサマンサ。グッと迫るオリエントチャーム。その外からサンレイジャスパーが脚を伸ばす。さらに外。4角では後方から3番手にいたはずのソリッドプラチナムが突っ込んできた。

 先頭に立ったサンレイジャスパーを最後の1完歩でかわしたのがソリッドプラチナム。ハンデ49キロの威力を見せつけ、スタンドがどよめいた。

 14頭立ての中、ただ1頭の3歳馬。鞍上は愛知の安部幸夫騎手だった。3歳馬がマーメイドSを制したのは初めてだった。

 11年に3歳馬リアルインパクトが安田記念を制し、3歳でもこの時期、古馬相手に通用する可能性があることは今でこそ認知されているが、06年はそこまで認識されていなかった。いわゆる“古馬の壁”は高いと思われていた。そこにソリッドプラチナムは果敢に挑戦し、見事、飛び越えてみせた。

 また、ソリッドプラチナムはステイゴールドの初年度産駒。マーメイドS優勝時は416キロで、父譲りの小さな体を躍らせての快勝劇だった。父は、のちに大成功を収めるが、「ステイゴールド、走るじゃないか」と早い時期に関係者に思わせた効果は大きかったと推察する。ソリッドプラチナムは父の大成功にも貢献したのだ。

 この9番人気馬の優勝後、08年トーホウシャイン(12番人気)を筆頭に、伏兵が毎年のように台頭する一戦としてマーメイドSは認識された。

 さて、東京へと舞台が移っても「旧マーメイドS(=府中牝馬S)」は荒れる重賞という看板を掲げ続けてくれるのだろうか。まずは今年の結果に注目したい。

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