【函館記念】ヴェローチェエラ “不滅の記録”0秒2更新!37年ぶりコースレコード 初タイトル獲得

2025年6月30日 05:25

函館記念を制したヴェローチェエラ(撮影・千葉 茂)    

 衝撃のレコードV。サマー2000シリーズ第1戦「第61回函館記念」が29日、函館競馬場で行われ、佐々木大輔(21)との新タッグで挑んだ10番人気ヴェローチェエラが早め進出で一気に押し切った。勝ち時計1分57秒6は88年サッカーボーイの記録を0秒2更新するコースレコード。4度目の重賞挑戦で初タイトルを獲得した。

 37年前にタイムスリップしたような豪快な勝ちっぷり。3角過ぎから早めに仕掛けたヴェローチェエラが直線に入ったところで堂々と先頭に立つ。馬上で気迫のこもった右ステッキを入れる佐々木の鼓舞に応え、そのまま重賞初Vのゴールを駆け抜けた。電光掲示板に「レコード」の赤い文字が表示されると、函館競馬場にどよめきが起こる。勝ち時計1分57秒6は88年当レースでサッカーボーイが記録したコースレコードを0秒2更新。昭和を代表する名馬と同じようなレース運びでライバルを圧倒した。

 初コンビで勝利に導いた鞍上は「自信を持って乗ることができた」と爽やかな表情。五分にスタートを出ると内に潜らず、あえて中団の外に進路を取った。「レース前から(須貝)先生と向正面の途中で動いて行けたらと言っていて、イメージ通りの競馬でした」。外から次々とライバルを抜き去り、地力の違いでねじ伏せる快勝劇。「道中、力を抜いて走れたのが後半につながったと思います」と勝因を冷静に振り返った。

 管理する須貝師にとっては20年アドマイヤジャスタ以来の当レース2勝目。15番人気で制した当時と同じく今回も10番人気の伏兵でV。21年セレクトセール当歳(6600万円)で見つけた逸材は昨夏から条件戦を3連勝し、少しずつ成長してきた。指揮官は「まだ緩いところがある。もう一段階(上のステージに)上がれるし、これからだと思います」と期待を寄せる。

 昨年の札幌遠征に続き、北海道の洋芝は2戦2勝と無敗。「次は札幌記念(8月17日)しかないよね。放牧に出して、間に合うように調整します」と先を見据えた。異次元のパフォーマンスで重賞ウイナーの仲間入りを果たした素質馬が、ひと月半後のスーパーG2を盛り上げる。 (田村 達人)

 ヴェローチェエラ 父リアルスティール 母イプスウィッチ(母の父デインヒルダンサー)21年3月5日生まれ 牡4歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・合同会社TO RACING 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績11戦5勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億2733万9000円 馬名の由来はイタリア語で「速い」+「時代」。

 ▽昭和のレコード 現在もレースが実施されているコースで最も古いレコードは、ともに83年1月6日に記録された中山ダート戦の1800メートル(キヨヒダカ=1分48秒5)、2400メートル(ピーチシャダイ=2分28秒8)となっている。芝コースのレコードでは昭和のものとして唯一、更新されていなかった函館芝2000メートルが塗り替えられ、80年代に記録されたレコードはダート戦の2つのみになった。

 ▽サッカーボーイ 87年阪神3歳SでG1初制覇、翌年のダービーは1番人気に支持されるも15着に敗れた。古馬との初対戦だった88年函館記念はメリーナイス、シリウスシンボリのダービー馬2頭に加え、前年の牝馬2冠マックスビューティも参戦。レースは河内洋とのコンビで3角外から進出、4角で先頭に立つと、その後は独走だった。2着メリーナイスに5馬身差をつけ、勝ち時計の1分57秒8は当時の芝2000メートルの日本レコードを樹立。その年の秋にはマイルCSも制した。翌年も現役続行の予定だったが、骨折や脚部不安で引退。通算11戦6勝。

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