【マイルCS】ジャンタルマンタル 史上初JRA芝マイルG1完全制覇 レースレコード1分31秒3
2025年11月24日 05:25 名実ともに最強マイラーの称号を手にした。「第42回マイルCS」が23日、京都競馬場で行われた。単勝1・8倍のジャンタルマンタルが直線、馬場の真ん中から力強く抜け出し、1分31秒3のレースレコードで快勝。史上9頭目の春秋マイルG1制覇を飾り、史上初となる牡馬が出走できるJRA芝マイルG14競走完全制覇の偉業を達成した。鞍上の川田将雅(40)は当レース19回目の騎乗で初V、管理する高野友和師(49)は23年ナミュール以来、当レース2勝目。この秋のJRA・G1で関西馬は初勝利を飾り、スプリンターズSから続いた関東馬の連勝を「5」で止めた。
まさに人馬一体。横綱相撲で勝利に導いた川田はジャンタルマンタルの馬上で何度も拳を握りしめ、パートナーの会心の走りに喜びを体現した。「チャンピオンであることを証明できてホッとしています」。鞍上は安堵(あんど)の表情を見せたと同時に最良のパートナーの強さを改めて感じていた。
スタートから全く危なげなし。外めの15番枠からスタートを決めると、好位の3番手をキープ。終始、呼吸をピタッと合わせ、いつでも動ける態勢で勝負どころを迎えた。4角で逃げたトウシンマカオとの距離を詰め、ゴーサインを送ると瞬時にギアチェンジ。残り300メートルで先頭に立ち、馬場の真ん中から堂々とゴールを駆け抜けた。川田は「とてもいい感じで走れて、手応え通りスムーズでした。西日が後ろから差していますので、影で後ろの馬を確認しましたが、追って来る馬がいなかったので勝つことを確信しました」と振り返った。
23年朝日杯FSを制し、昨年はNHKマイルC、そして今年は春の安田記念に続いてマイルG14勝目。「とてもいい馬で、マイルの日本一になれる可能性を秘めた馬だと感じました」。2年前に初コンビを組んだ当初に感じたインスピレーションを自らの騎乗で確信へと変えた。今回のマイルCS制覇で史上9頭目の春秋マイルG1制覇、さらに牡馬が出走できる国内芝マイルG14競走完全制覇という史上初の偉業を達成した。「日本において男馬が出走できるマイルG1を全て勝ちました。胸を張って、この馬はこのカテゴリーのチャンピオンだと言える競馬でした」と称えた。
陣営の緻密な計算も実を結んだ。秋初戦の富士S2着を経ての戴冠。高野師は「富士Sは完璧な状態でないというところでの出走で負けたけど内容は良かった。トレセンへ戻ってきて、調整を間違えなければ次は大丈夫だと思っていた」と振り返り「今までで一番いい肉体、精神状態でゲートへ行くことができました」と充実ぶりに目を細めた。
もはや、国内に敵はいない。当レースを制した過去の名マイラーを超える活躍が期待される。川田は「今日は何もしなくてもいいぐらい全て馬が理解をして、自分がチャンピオンホースだという自信を持ってレースに臨んでいました」と絶賛。指揮官も「これだけの成績を残してくれているので健康状態を一番に考えて、今後はオーナーと相談しながら決めたい」と明言は避けたが、視線の先には海外のマイルG1もターゲットに入る。名実ともに現役最強マイラーの称号を手に入れ、さらなる高みを目指していく。
ジャンタルマンタル 父パレスマリス、母インディアマントゥアナ(母の父ウィルバーン)21年3月21日生まれ 牡4歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績10戦6勝(重賞5勝目) 総獲得賞金7億1249万8000円 馬名の由来はインドにある天体観測施設。

