日本も学ぶべき点が多い香港競馬の躍進 香港国際競走は地元勢4戦3勝
2026年1月14日 05:20 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は美浦取材班の高木翔平(35)が担当する。昨年12月14日に行われた香港国際競走は、地元・香港勢が前年に続き4戦3勝。7頭が遠征した日本馬は3年連続勝利なしに終わった。現地出張で見た香港競馬の調教から感じたことをつづった。
昨年末に行われた香港国際競走の主役たちは今回も地元・香港勢だった。スプリントのカーインライジング、マイルのヴォイッジバブルは連覇、カップのロマンチックウォリアーは4連覇。日本勢は7頭が挑んだが、ソウルラッシュ(マイル)とベラジオオペラ(カップ)の2着が最高。22年ウインマリリンの香港ヴァーズ制覇以降のレースでは、日本馬延べ41頭が高い壁にはね返されている。
カーインライジングは昨年10月に世界最高峰のレースの一つに数えられる豪G1ジ・エベレストを制覇。また、ロマンチックウォリアーは日本、オーストラリアのG1を制し、昨春もダートのサウジC、続くドバイターフで2着に好走。先日の香港C4連覇で通算獲得賞金は衝撃の約48億8000万円となった。香港馬には過去にもサイレントウィットネスなどの超一流馬はいたが、特に近年は海外でもその強さが際立っている。出張した現地での調教風景で感じたことがあった。
日本馬は国内と同じように水、木曜に追い切ったのに対し、カーイン、ロマンチックは火曜にハードな調教。カーインライジングを管理するヘイズ師は「今日が火曜日だから強い走りをさせているわけではなく、あくまで馬の体調を見極めながらメニューを決めている」と教えてくれた。前述2頭が前哨戦の前に最も速い時計を出したのは月、木曜とバラバラ。われわれはどうしても「最終追いはいつか?」という見方をしてしまうが、香港ではそういった意識は薄かった。
普段はシャティン競馬場の芝コースとオールウェザーコースで調整を行う香港馬。日本のトレセンのような坂路やWコースはない。田中博師は「正直、普段からこの硬い馬場で馬を仕上げているのは少し信じられない。かなりハイレベルな技術力を感じる」と舌を巻いた。調教師の移籍が一般的な香港。ドイツやオーストラリアのトップトレーナーの移籍も珍しくなく、“技術交流”が盛んに行われている。限られた条件下で世界のトップトレーナーたちが試行錯誤する環境は、日本とは対照的に映る。
ほぼ全ての馬が若駒時代に去勢することでのメリット、日本の年度代表馬級の馬は遠征していないなど、近年の“香港馬優勢”の情勢にはさまざまな要因が絡んでいる。それでも日本の約20分の1しか現役競走馬がいない香港競馬の躍進ぶりに学ぶ点は多いはず。前述の田中博師は香港Cにローシャムパークで参戦。「馬の活気を取り戻す」というテーマの下に、火~土曜まで4F53秒3~57秒6というやや強めの強度で馬を動かし続け、日本でいうところの“最終追い”はなし。新たな取り組みに見えた。日香の競馬が高いレベルで競い合うことが、アジア競馬の発展につながるのは間違いない。
◇高木 翔平(たかき・しょうへい)1990年(平2)生まれ、広島県出身の35歳。15年入社で23年から東京本社予想を担当。BSイレブン出演中。
