藤岡佑介 父・健一厩舎所属馬で有終V 笑顔と涙の引退式「ジョッキーという仕事が本当に大好きでした」

2026年3月1日 05:29

<藤岡佑介・引退式>騎手仲間から胴上げされる藤岡(撮影・中辻 颯太)

 ステッキを置く日がやって来た。1日に調教師に転身する藤岡佑介(39)の騎手引退式が28日、阪神競馬場で全レース終了後に行われた。YouTubeでもライブ配信され、大勢のファンが騎手としての最後の勇姿を見届けた。

 引退式に臨んだ藤岡はストレートな思いを口にした。「どんなに嫌なことがあっても、つらいことがあってもレースで勝って仲間やお客さまからおめでとう、ありがとうと言ってもらえるだけで、全部忘れて最高にハッピーな気持ちになれるジョッキーという仕事が本当に大好きでした。また生まれ変わっても(弟・康太さんと)一緒にジョッキーになりたいと思います」と感謝の気持ちを伝えた後、涙がこみ上げてきた。

 華々しく騎手生活を終えた。この日は7鞍に騎乗。10R・マーガレットSは父・健一師が手がけるタマモイカロスで有終Vを飾った。「初めて乗りましたが思ったより前に行けなかった。仕上がりの良さを生かすことができて、終わってみれば完勝でした」と相棒を称え、「勝ったジョッキーにしか見られることができない、景色を見られたことはいい思い出」と勝利をかみしめた。

 04年のデビューからJRA通算1110勝を積み重ね、18年NHKマイルC(ケイアイノーテック)、24年フェブラリーS(ペプチドナイル)でG12勝を挙げた。同じくJRA騎手として活躍した康太さんが落馬事故で24年4月10日に死去。「とにかく無事に引退することが藤岡家の長男としての務めかなと思っていたので役割を果たせたと思ってホッとしています」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 日が傾き、冷え込む仁川で最後まで引退式を見守ったファンを大切にした。「これだけ多くのお客さまの前でレースができるということは、JRAの騎手になった自分たちにしか味わえないこと」と名残惜しそう。22年の騎手生活の幕を閉じ、今日からは調教師として新たなステージへ向かう。「気持ちを切り替えて、応援してもらえるような競走馬、ジョッキーを育てていけるチームをつくりたい」と未来の厩舎像を思い描いた。騎手仲間やファンからの信頼も厚い藤岡。真っすぐな志を胸に、これからも馬と向き合っていく。

 ≪父・健一師 親としてホッと≫藤岡の父・健一師(65)は優しい表情で引退式を見守った。「無事に騎手生活を終えて調教師としてではなく、親としてホッとしています」と心の底からの心情を語った。「これからはライバルになるので(自身の定年引退まで)5年間は追い越さないように」と取材陣を和ませながら「無事に終えて、みんなに感謝していると思うので、その感謝を忘れないでいてほしい」と父親目線で続けた。また、父子タッグで差し切った10R・マーガレットSのタマモイカロス(牡3、父デクラレーションオブウォー)は「強かった。うまく乗ったんじゃないかな」と好騎乗を称えた。次走はファルコンS(21日、中京)を予定している。

 ▼作田誠二氏(師匠) 無事に終えてくれてホッとしていますし、僕も感無量です。初めて会った時から人間的に素直で、いい子。ここまで頑張って成績を残したので「お疲れさま」と褒めてあげたいです。柔軟に物事を捉えられる子なので、いい厩舎をつくると思う。(調教師として)自分の弟子を取った時には守ってやってほしい。

 ▼武豊 デビュー前から知っているんでね。立派な騎手でした。真面目で熱心で競馬が大好き。調教師として、いい馬や人を育てると思います。(引退して)寂しい感じがしますよ。

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