ここまで本音で書いてしまうの? 戸崎圭太が自身の半生つづった「やり抜く力」

2026年6月11日 05:15

著書「やり抜く力」を出版した戸崎圭太(本人提供)

 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は東京本社の鳥谷越明(56)が担当する。今回テーマに選んだのは、スポニチ本紙にコラム「KEITA~LK」を連載している戸崎圭太(45)が3月26日に出版した著書「やり抜く力」(Gakken)。出版に至った経緯や込められた思いを紹介する。

 ここ数年で、最も大きくイメージチェンジした騎手は間違いなく戸崎圭太だと思う。自身のYouTubeチャンネルを開設し、テレビのバラエティー番組への出演も大幅に増加。その明るく、サービス精神旺盛な性格を世の中に広くアピールしている。そして、今年3月には「スポーツ選手の自伝は結構読んできたので、自分もやってみようかな」との思いから初の著書「やり抜く力」を出版した。

 本紙にコラムを連載している縁もあり、記者は発売後すぐに購入して読んでみた。「天才じゃなくてもトップになれた『ベリベリ』シンプルな理由」というサブタイトル通り、全編を通して、自虐的と言ってもいいほど謙虚な文体でこれまでの経験を語っている。

 発売から2カ月余、周囲からの反応を聞いてみると「凄く読みやすいと言われます。内容が薄っぺらいからでしょうか」と笑うが、決してそんなことはない。騎手を目指したきっかけをはじめ、節目節目での心境を詳細に記述。自伝を出版した騎手は他にもいるが、ここまで本音を書いてしまうの?と驚くほど赤裸々に半生を振り返っている。

 この本を通して何を伝えたかったのか?「僕の経験や思いを読んで、誰かが何かを感じてくれればうれしい」と戸崎。特に強く意識しているのは子供たちだと言う。ネタバレにならないように具体的な記述は避けるが、“全く平凡な人間だった自分でも、やりたいことを見つけて地道にコツコツと頑張り続けたら、ここまで来られた”というのが要旨。どこかで聞いたことがあるような…。10代の頃に「マンダラチャート」(目標達成シート)で設定した目標に向かってひたむきに努力を続け、MLBのトップまで上り詰めた大谷翔平に通じるマインドを感じる。

 決して順風満帆だったわけではなく、多くの失敗から学び、幸運な出会いにも恵まれてきた。この本には地方時代に大きな影響を受けた石崎隆之元騎手、そしてJRA移籍後に目をかけてくれた福永祐一元騎手(現調教師)からの、戸崎に向けたスペシャルインタビューも収録されている。

 記者自身、多くの新たな発見と学びがあった「やり抜く力」は全国の書店、ネット通販で好評販売中。これから将来を考える子供たちにぜひ読んでほしい内容だと思う。競馬ファンの皆さんも、この本を読めば彼の性格やスタイルへの理解が格段に深まるはず。本当にお薦めしたい一冊です。

 ◇鳥谷越 明(とりやこし・あきら)1969年(昭44)7月9日生まれ、群馬県出身の56歳。93年入社。営業部門を経て99年からレース部中央競馬担当。02年10月から19年12月まで17年3カ月間、東京本社予想を担当。20年からレース部長を務め、25年10月に中央競馬担当記者に復帰した。

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