地方所属で札幌2歳Sを制したトラストのようなドラマを期待

2026年9月4日 05:20

16年の札幌2歳Sを制したトラスト(左)

【競馬人生劇場・平松さとし】今週から中山と阪神で秋競馬が幕を開ける。変則的に札幌は最終週。メインは札幌2歳S(G3)だ。

 今から10年前の16年、このレースを制したのがトラストだった。管理していたのは川崎競馬の河津裕昭調教師、騎乗したのはJRAの柴田大知騎手である。

 同馬は川崎でデビューから連勝を飾った後、3戦目でJRAのクローバー賞に挑戦。初の芝で1500メートルも初めてにもかかわらず、1番人気に支持された。

 結果は残念ながら2着。初めてコンビを組んだ柴田大騎手は、レース前後の心境を次のように振り返った。

 「初もの尽くしの中で2着を確保。決して悲観する内容ではなかったのですが、話題になって期待が大きく、負けられないつもりで臨んだだけに、早々に手応えがなくなったのは意外でした」

 この敗戦を受け、続く札幌2歳Sは5番人気まで評価を下げた。半信半疑のファン心理が見て取れる人気だが、その気持ちは鞍上も同じだったという。「相手も強化されるし、今度はどこまでやれるだろうか、という心境でした」。ゲートが開くと、前走とはまるで違う行きっぷりを見せた。

 「スッとハナに行けました。こうなったら周囲に合わせることなく、自分のペースで行ってやろうと思いました。スタミナがあるのは分かっていましたから」

 この策が奏功し、トラストは見事な逃げ切りを決めた。さて、後に中央入りするトラストだが、この時点ではまだ川崎競馬所属である。それでも柴田大騎手がこの馬の特徴を手の内に入れていたのには理由があった。

 「競馬での騎乗は2度目でしたけど、牧場にも何度か足を運んで乗っていましたから…」

 思わぬ勝因に、当時、思わずうなったものである。さて、夏の名残の最終週。今年はどんなドラマが待っているだろうか。期待したい。(フリーライター)

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