【朝日杯FS】エスカーダ好結果生む“自然体”
2009年12月17日 06:00 【G1ドキュメント・朝日杯FS=美浦16日】開門した午前7時、美浦トレセンは気温3度。寺下は全身を震わせ、メモを取る手はかじかんでいた。そんな中、注目したのは前走・クリスマスローズSをブービー人気ながら快勝したエスカーダだ。気温が6度まで上昇した午前9時45分、ハロー明け直後の坂路コースに現れると、軽快な脚さばきを披露。馬なりのまま4F50秒9~1F12秒4の好時計をマーク。すぐさま高市師に感触を聞く。
「サッとやっただけ。息の入りは良かった。前走より状態はいいよ。初のマイル戦になるが、折り合いはつくし、問題ない。血統的には大歓迎。細身の馬体からも距離が延びた方がよさそうだね」と笑顔。自信の裏には、前走から組んだパートナーの存在が大きい。
10月末から短期免許で初来日しているクラストゥス騎手だ。08年仏リーディング9位(70勝)に入った24歳の新鋭に対するトレーナーの支持は熱い。「彼は馬を真っすぐ走らせるのがうまい。無駄な動きをしないし、馬の能力を引き出してくれる。いい騎手だよ」と起用の理由を語った。
96年12月開業の師は、翌年の朝日杯3歳S(オンクラウドナイン11着)で初のG1出走を果たした。その質問をぶつけると、意外な答えが返ってきた。「そうだったっけ?初めて知ったよ」とG1に対しても自然体で臨む。その雰囲気が馬や騎手に伝わり、いい結果が生まれるのでは…。寺下は、そう確信した。