【札幌記念】横典ノームコア 読み切りV!まるで“セイウンスカイ”芦毛の相棒と会心差し

2020年8月24日 05:30

1着でゴールし、ポーズを決めるノームコア騎乗の横山(撮影・千葉 茂)

 G1馬対決を制した。札幌メイン「第56回札幌記念」は2番人気ノームコア(牝5=萩原)が断然の1番人気ラッキーライラックを差し切って重賞4勝目。2度目となる横山父子3人そろい踏みの重賞で威厳を示した鞍上・横山典弘(52)は同レース3勝目で、札幌重賞12勝は武豊に並ぶ最多タイの記録となった。一方の小倉メイン「第55回北九州記念」は福永祐一(43)騎乗の8番人気レッドアンシェル(牡6=庄野)が1年2カ月ぶりの勝利で復活を遂げた。

 終わってみれば、G1馬3頭による決着。ハイレベルな一戦を絶妙な騎乗で制した52歳の大ベテラン横山典が、ノームコアの鞍上で何度もガッツポーズを繰り返す。管理する萩原師らに迎えられた検量室前では「強かった!」と再び握り拳。「無観客競馬で普段より落ち着いていて、返し馬の動きからダイレクトにいい感じが伝わってきた。“これならやれる”と自信を持って乗った」と満面の笑みでレースを振り返った。

 1番枠を生かし、好発から道中は中団の最内をキープ。「考えていたプラン通りの競馬ができた。4コーナーまで本当にうまくいった」。今週から札幌芝コースは内柵が3メートル外へ移動。“イン有利”を読み切った熟練のエスコートだ。直線手前でスムーズに外へ持ち出すと、先に抜け出した1番人気ラッキーライラックをあっさり抜き去る。「いつもいい脚を使う上に、今日は具合が本当に良かった」。外から追い込むペルシアンナイトをしのぎ、芦毛の相棒とゴール板を先頭で駆け抜けた姿は、まるでセイウンスカイを脚質転換で差し切りVに導いた99年札幌記念のVTR。会心騎乗に「テレビを見ているファンにいい競馬を見せられたんじゃないかな」と気持ちよさそうに汗を拭った。

 2度目の横山父子3人そろい踏み(長男・和生=6着、三男・武史=5着)となった重賞で“父の威厳”を示した横山典同様、ノームコアにとっても大きな意味を持つ勝利となった。昨春にマイル女王に輝いたが、今春はヴィクトリアM3着、安田記念4着とあと一歩タイトルに手は届かず。昨年1月の愛知杯(2着)以来1年7カ月ぶりの2000メートル戦で反撃し、今後の選択肢は大きく広がった。萩原師は「オーナーと相談して次走を決めたい」と話すにとどめたが、横山典は「秋へ向けてまだまだこれからの馬。いつも頑張ってくれるけど、この秋も頑張ってほしい」と2つ目のG1奪取を見据える。春に後じんを拝したアーモンドアイ、グランアレグリアとの再戦か。1歳下の妹で宝塚記念圧勝のクロノジェネシスとの姉妹対決か。最強の牝馬を目指す戦いが待っている。

 ◆ノームコア 父ハービンジャー 母クロノロジスト(母の父クロフネ) 牝5歳 美浦・萩原厩舎所属 馬主・池谷誠一氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績15戦6勝(うち海外1戦0勝) 総獲得賞金3億8728万3900円(うち海外1999万5900円)。

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