武豊53歳の記録更新見届けよう
2022年3月18日 05:30 【競馬人生劇場・平松さとし】3月15日、武豊騎手が53回目の誕生日を迎えた。騎手生活36年目の大ベテランだが今年も先週の13日現在で18勝。全国リーディング9位とまだまだ元気な姿を見せてくれている。
JRA通算4300勝以上でG1だけでも100勝以上など、数々の記録を樹立してきた天才騎手だが、中でも突出しているのは海外での勝利数だろう。こちらも3桁に達し、JRA所属の日本人騎手としては他の追随を許さない。
私も世界中で彼が先頭でゴールするシーンに立ち会ってきた。米国では1日に2勝する場面を目撃した。英国ではその日の国内全競馬場の全レースを対象にしたベストライド(最高の騎乗)に表彰される騎乗を見させてもらった。ドバイ、フランス、香港ではいずれもG1制覇を目の前でやってのけてくれた。私は強烈なナショナリストというわけではないが、異国での彼の活躍は同じ日本人として誇らしい気分になったものだ。
そんな中、よく覚えているのが2002年9月、フランスのトゥールーズ競馬場。当時、同国のシャンティイに長期滞在していた武豊騎手はモンロシェという馬1頭に騎乗するため飛行機で南仏へ移動。見事にメインレースを優勝したのだ。
メインといっても重賞ではないし、フランスといっても凱旋門賞のような大レースでもない。日本のファンでもこの勝利を覚えているというか、知っている人すら少ないだろう。それでも飛行機で移動し淡々とこなす姿勢には感服させられた。思えば大きな記録として騒がれることのないこういった騎乗(経験)を積み重ね、自らの技術を磨き続けてきたのだろう。
ところでJRAでは記録が更新されるたびに当該者を表彰するのが習わしになっている。そんな中、毎回の表彰がないので見落としがちだが、武豊騎手は1つ勝つたびに自らが持つJRAの最多勝記録を更新している。つまり、私たちはほぼ毎週、大記録達成の歴史的瞬間に立ち会えているのだ。53歳となった今年も何度も記録更新のシーンを見させてもらおう! (フリーライター)