【皐月賞】前半5F60秒以上かかれば“番手の正攻法”アスクビクターモア出番!
2022年4月13日 05:30 レース展開を多角的に分析し好走馬に迫る春のG1企画「展開王~前か後ろか」。今週は牡馬クラシック1冠目「皐月賞」を分析する。初回は弥生賞ディープインパクト記念を制したアスクビクターモアをクローズアップ。かつての王道ローテだが、近年は優勝馬の本番での成績が振るわない。果たして今年は?
弥生賞と言えば、かつては皐月賞を目指す馬の王道。昭和のアイドルホース・ハイセイコー、無敗3冠を達成したシンボリルドルフ、ディープインパクトもステップにした。ただ、近年は不振。弥生賞をステップに本番を制したのは10年ヴィクトワールピサが最後。10年以上、優勝馬が出ていない。
不振の要因の一つと考えられるのがペースの違い。過去10年の弥生賞と皐月賞の前半5Fの通過ラップを比較すると、馬場状態の違いにかかわらず、本番の方が1秒以上速い。同じ舞台でも、毎年10頭前後で行われる前哨戦とフルゲートの本番では、全く異質のレースとなる。前哨戦の緩流で好走した馬が、本番の激流に戸惑うのか?
今年、弥生賞を制したアスクビクターモアは前半5F61秒1で逃げたリューベックを2番手で追走。早め先頭で押し切った。弥生賞としては平均的なペースだ。中山は3戦3勝。いずれも前半5F61秒以上と遅めの流れを、4角3番手以内の好位から抜け出している。高木助手は「以前より操縦性が上がっており、今回は逃げ馬が分かっているのでシミュレーションがしやすい」と話す。今回も“番手の正攻法”で運ぶ可能性が高い。
過去10年で弥生賞V馬が本番で2着に好走したのは14年トゥザワールド、16年マカヒキ、21年タイトルホルダーの3例。14、21年は5F60秒台と皐月賞としては遅めの流れ。16年マカヒキは弥生賞の時点で59秒5と速い流れを経験していた。今年の逃げ候補はデシエルトとビーアストニッシド。前者は若葉S、後者はスプリングSを5F60秒8で逃げ切った。すんなり隊列が決まるか、あるいは序盤で競り合うかで、ペースは大きく変わりそうだ。
ビクターモアの父ディープインパクトは弥生賞が5F62秒2、皐月賞が59秒6。ペースアップに難なく対応して連勝したが、2戦目の若駒Sが59秒3とハイラップを経験済みだった。まだ60秒を切る流れを経験したことがないビクターモアが、果たして本番のペースに対応できるのかは未知数。中山無敗と舞台適性は申し分ないだけに、鍵は前半5Fの通過タイム。過去の傾向から、60秒以上で流れるようなら、ビクターモアの好走確率も自然とアップするはずだ。
▽中山芝2000メートルの特性 スタートは直線の右端で、4角を回り終えた地点。1角まで約400メートルあり、しばらくは上り坂が続く。序盤はゆったりと流れることが多い。2角から緩やかな下りに転じ、向正面はだらだらと下っていくイメージ。ここで動く馬がいると、勢いがついてペースが上がりやすい。4角からはほぼ平たんで、直線は4大場(他に東京、京都、阪神)で最も短い310メートル。残り200メートルから高低差2.4メートルの急坂が待ち受ける。基本は先行有利だが、ハイペースで消耗が激しいと最後の坂で脚が上がる。序盤で脚を温存していた差し馬が台頭するケースも。先行馬は持久力、差し馬は瞬時の加速性能を問われる。