【日本ダービー】ジオグリフ 2冠へ圧巻のラスト11秒4!福永、史上初の3連覇見えた

2022年5月26日 05:30

ブレッシングレイン(左)と併せて追い切るジオグリフ(撮影・郡司修)

 競馬の祭典「第89回日本ダービー」の最終追いが25日、東西トレセンで行われた。史上初のダービー3連覇が懸かる福永祐一(45)が騎乗したジオグリフ(牡=木村)は美浦ウッドチップコースで軽快に動き、抜群の仕上がりをアピール。短期間で驚きの成長を遂げた皐月賞馬が2冠を奪取して世代の頂点に立つ。ダービーの枠順は26日に確定する。 

 ジオグリフの追い切りには常に新たな驚きがある。ダービー2連覇中の福永にとってもそうだ。その才能に心躍った皐月賞の追い切りから約1カ月。相棒はわずかな期間でさらなる高みに達していた。「状態が良いというよりはさらに馬が成長している。ワグネリアン(18年)、コントレイル(20年)の時は感じなかった。シャフリヤール(21年)のような感じ。シャフリは毎日杯からやけどね」。ダービー3勝の名手が皐月賞馬の急成長に舌を巻いた。

 最終リハは皐月賞時を踏襲。前走同様ブレッシングレイン(5歳1勝クラス)を3馬身ほど前に置いてスタートした。気負いなく道中をクリアし、直線に向けてスムーズに加速。最後まで福永の手綱は動かない。それでも前脚を高く上げ、四肢を激しく伸縮させた。ラスト200メートル11秒4の切れ味。内から併入だ。福永は「皐月賞時よりも力強さが増していた。走るフォームも前回よりしっかりと地面を捉えた走りをしていた。いい進化を遂げている」。納得の表情だ。

 「僕には才能がない」。天才騎手・洋一氏を父に持ちながら、若い頃の福永は何度もそう口にした。98年キングヘイロー、13年エピファネイアなどダービーは18連敗。だが、18年ワグネリアンで初優勝を飾ると、せきを切ったように、さらに2勝を積み上げた。肉体改造で馬を御せるようになり、一緒に走るライバルを誰よりも研究した。たゆまぬ努力で武豊&四位に並ぶダービー2連勝を達成。ついに日本競馬における未知の領域「ダービー3連覇」に挑む。福永は「それだけのチャンスがある馬の依頼を頂いているのは非常に光栄なこと。今回も有力馬の1頭で臨めるので非常にモチベーションは上がっている」と力強く語った。

 今回、唯一の懸念材料は2400メートルの距離か。ジオグリフは一般的に長距離戦でリスクが高まるノド鳴りの症状を抱え、父がダート短距離で活躍したドレフォン。それでも福永は「(ノド鳴りは)現状ではパフォーマンスに影響はない。距離は走らせてみないと分からないことが多いが、それはジオグリフに限らない。操作性の高い馬だし、距離が延びて乗り難しくなることはない」。円熟の極みを迎えた名手に皐月賞馬の急成長があれば…。この春は主役のまま走り切る。

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