【セントウルS】ソングライン 米国遠征へ弾みつける!初スプリント戦で瞬発力期待大

2022年9月8日 05:30

併せて追い切るソングライン(左)(撮影・西川祐介)

 誇りを胸に、悔しさを糧に、秋の飛躍へ。秋競馬の開幕を告げる3重賞の最終追い切りが7日、東西トレセンで行われ、「第36回セントウルS」(11日、中京)に出走するソングライン(牝4=林)は圧巻の動き。安田記念制覇の勢いそのままに、予定される米国遠征に向けて内容が求められる一戦に挑む。

 時計を要する状態にある美浦のWコース。だが、G1を制した馬力があれば関係ない。ソングラインは5F(全体時計67秒8)から華麗な加速ラップを刻んだ。ラスト3Fは13秒3→12秒3→11秒4と圧巻の瞬発力。鞍上の津村(レースはルメール)が軽く促しただけで、3馬身先行の古豪クレッシェンドラヴ(8歳オープン)を内から悠々と抜き去った。

 安田記念ではG1初制覇の緊張と興奮から「レースは半分見ているようで見ていないような感じでした」と夢心地で取材に応えた林師だが、この日はらしく、沈着冷静に追い切りを分析した。「3~4角、直線と津村騎手にしっかり動かしてもらうイメージ。春は左回りでの追い切りが続いて、久しぶりに右回りの追い切りになりましたが、いい動きでした。8月初めに入厩して追い切り以外でもしっかり乗り込めた。大事に一戦ごと使ってきたかいもあって、また一段と大人になった印象です」

 日本のマイル女王から世界のマイル女王へ。BCマイル(11月5日、キーンランド)を見据えるソングラインが秋のさらなる飛躍への踏み切り台に選んだのは、初めての1200メートル。速い流れを経験することが目的で、指揮官は「米国は小回りコースで(マイル戦でも)スプリント寄りの競馬になるので」と理由を説明する。その上で、単なる“叩き台”にするのではなく、結果も求める姿勢は崩さない。1週前追い切りでは、馬の気持ちを乗せるためにチークピーシーズを着用するなど馬具を工夫。「チークはサウジ遠征(1351ターフスプリント=1着)でも着けましたし、今回の実戦で着けるかどうかは、この後の気配を見ながら考えます」と直前まで最善を模索する構えだ。

 アーモンドアイ、グランアレグリアでもかなわなかったヴィクトリアマイルから安田記念に向かう過酷なローテーションでの牡馬相手の勝利から3カ月。タフネスなマイル女王は国内のファンにその速さを知らしめた後、堂々と世界制覇の旅に出る。

 《千二初挑戦Vなし》セントウルSが1200メートルで施行されるようになった00年以降、同レースが初めてのスプリント挑戦だった馬は1頭も優勝していない。それでも、林師は「以前に比べると発馬がいいですし、スタート後の二の脚も安定してきていますのでこの距離でも」とジンクス打破を信じて送り出す。歴史を塗り替えるスピード能力を示すことができれば、自信を持って世界制覇に打って出ることができるはずだ。

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