“想定内”の前哨戦 ドウデュース陣営は凱旋門賞を心待ち

2022年9月16日 05:00

ドウデュースと写真に納まる(左から)武豊、松島正昭オーナー、友道康夫師(撮影・平松さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】現地時間10日の夜。フランスのパリ市内にある日本料理店に松島正昭オーナー、友道康夫調教師、そして、武豊騎手の姿があった。凱旋門賞(G1)を目指すドウデュース(牡3)がプレップレースであるニエル賞(G2)に出走。そのために、皆は現地入りしたのだった。

 「今回はあくまでも前哨戦。大目標はまだ先なので仕上がり途上の体です」

 友道師がそう言えば、武豊騎手も首肯して口を開いた。

 「ニエル賞は本番へ向けたスクーリングを兼ねた追い切り代わりのようなもの。勝てるに越したことはないけど、まずは次へつながる内容のあるレースを心掛けます」

 実際、2日に現地入りした日本ダービー馬は、その後もそれほど強い調教はされていなかった。レース4日前には最終追い切りが行われたが、それも「5Fほどでラスト2Fをサッとやっただけ」(友道師)。100%の出来ではなかったし、10月2日に行われる大目標までの時間を考えると、100%の出来であってはならなかった。

 そんな状態でもあり、結果は7頭立ての4着に終わった。

 「今回はこういう結果も想定はしていました。競馬場を経験できたのは大きいし、手前がなかなか替わらないなど、次へ向けて修正すべき課題が見つかったのも良かったです」

 武豊騎手はあくまでも前向きにそう言った。

 また、松島オーナーは、次のように語った。

 「今回は負けてしまったけど、これで状態が上がってくれば、と思うと、凱旋門賞が楽しみであることに変わりはありません」

 今回はレース2日前の現地入りとなったオーナーだが、その間に「凱旋門賞が楽しみ」「1年前には想像もできなかった」「ダービーを勝って、その馬で凱旋門賞へ挑めるなんて奇跡」と、幾度となく繰り返した。実際の凱旋門賞自体は2分30秒前後で決着をするが、関係者にとってはそんなにアッという間のモノではない。凱旋門賞は既にスタートを切っているのである。(フリーライター)

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