ルメール&武 捉え方違った凱旋門賞の馬場
2022年10月7日 05:16 【競馬人生劇場・平松さとし】先週末に行われた凱旋門賞(G1)。ご存じのように日本からは4頭が挑戦。レースの4日前にはそれぞれが最終追い切りを敢行。その後、主催者であるフランスギャロの仕切りで、関係者の共同インタビューが行われた。
タイトルホルダーの栗田徹調教師と横山和生騎手が合同会見を行ったのは分かるが、面白かったのは武豊騎手とC・ルメール騎手も一緒に会見をされたこと。前者はドウデュースに、後者はステイフーリッシュにそれぞれ騎乗。同じ日本馬といえ、一つの椅子を争うライバル同士だが、そんなことはおかまいなしに同席させてしまうのがいかにもフランスらしい。
普段はプライベートでも尊敬し合う仲。今回の凱旋門賞において、お互い相手に対しどんな思いを抱いているかを問うと、まずは武豊騎手が「邪魔しないでください」とジョーク交じりに挑発。すると、これに対し「分かりました」と答えたルメール騎手は続けて「でも、ユタカさんも僕の邪魔をしないでください」と笑いながら返し、会場は爆笑に包まれた。
さて、そんな2人だが、武豊騎手=ドウデュースは残念ながら終始後方のまま19着に沈むと、大外20番枠からのスタートとなったルメール騎手=ステイフーリッシュも見せ場をつくることはできず、14着に負けた。
面白かったのはレース後の2人の対応だ。元々フランス出身でパリロンシャン競馬場もよく知るルメール騎手だが、発走直前に降った雨に対し、うらめしそうに言った。
「あの雨で馬場が悪くなり過ぎました。ステイフーリッシュの調子は良かっただけに残念です」
一方、日本と違う馬場に対し多くは言及しなかったのが武豊騎手だ。「本来の走りはできなかったけど、馬場は全馬同じだし、承知して挑戦しているわけだからそれを敗因にはしたくないです」
相手のコメントを聞いたら、お互い苦笑するのではないだろうか。名手であり親友の2人だが、レースに対する捉え方はそれぞれ。これもまた競馬の面白いところである。 (フリーライター)