【京都大賞典】ウインマイティー完璧!五十嵐師自信「凄く良くなっている」
2022年10月7日 05:29 来月9日に古希を迎える五十嵐師にとって22年は刺激的な年になっている。5月の京都ハイジャンプをタガノエスプレッソが快勝。6月阪神のマーメイドSでウインマイティーが劇的な復活V。厩舎にとって平地の重賞勝ちは14年デイリー杯2歳S(タガノエスプレッソ)以来、実に8年ぶりだった。そして今夏、テイエムスパーダがCBC賞をJRAレコードで逃げ切って興奮はピークに達した。五十嵐師が振り返る。
「今年が最高の年だと言わなかったら、いつが最高の年だというぐらい、いい年だった。来年の2月までだが、ここまで来たらもう1年やりたいと思うな」
しんみり話す。確かに先週スプリンターズSで大敗(15着)を喫したテイエムスパーダはこれからが充実期。遅ればせながら重賞初制覇を飾ったウインマイティーはクラブの所有馬だが、ようやく本格化したことを思えば来年6歳を迎えても現役続行はあり得る。まだまだトレーナーとしての野心、情熱が湧き上がる。気持ちも体も若い五十嵐師なら、なおさらだろう。
秋初戦に京都大賞典を選んだウインマイティーの最終追いは芝コース。いくらか渋った馬場を気にすることもなく、5F61秒6~1F11秒6で駆け抜けた。何より印象的だったのは落ち着いた姿。重賞Vで身につけたのは風格。感触を確かめた和田竜は満足げだ。
「先週、速い時計を出しているので単走で確かめる程度。休み明けとしては今までより、いい感じ。走りも洗練されている。何も求めるものはない。本番に向けていい競馬ができれば」
控えめに言葉を選ぶジョッキーにしては上級の手応え。五十嵐師も強気だ。
「以前はよくスクんだ(筋肉の損傷により、けいれんや痛みが生じ、歩様が乱れること)馬が今回は帰厩してから一度もスクんでいない。体は幅が出て、凄く良くなっている。春はまだ半信半疑だったが、この秋はいい。本番でもノーチャンスとは思っていない」
牡馬相手のG2を選択したのは自信と状態の良さの表れ。ここで牡馬を蹴散らせば、エリザベス女王杯(11月13日、阪神)がはっきりと見えてくる。五十嵐旋風が秋も吹き荒れる。
◇五十嵐 忠男(いがらし・ただお)1952年(昭27)11月9日生まれ、京都府出身の69歳。73年、騎手デビュー。JRA通算2584戦176勝。93年に調教師免許を取得、翌年3月に厩舎を開業。JRA通算5834戦426勝、うち重賞16勝。05年阪神JF(テイエムプリキュア)でG1初制覇を飾った。