追い風が吹いた。「第27回秋華賞」（16日、阪神）は13日、出走馬16頭が確定。未勝利から3連勝と勢いに乗るストーリアが8分の4の出走抽選を突破した。今年コンスタントに勝ち星を挙げる杉山晴厩舎で鞍上は先週G2・2勝の松山。このタッグなら下馬評を覆す戴冠も十分だ。不運のアクシデントでオークス競走除外となったサウンドビバーチェはラスト1冠に懸ける。管理する高柳大輔師（45）は2冠牝馬スターズオンアースの高柳瑞樹師（47）と兄弟そろって大舞台に立つ。枠順は14日に確定する。　

　よもや、この馬が抽選で除外される可能性があるなど誰も思っていなかったはず。そう、絶好調の杉山晴厩舎が自信を持って秋華賞に送り出すのがストーリアだ。厩舎は一昨年デアリングタクトが3冠牝馬に輝き、この秋は菊花賞の東西トライアルを制すなど今年JRA重賞4勝を含む36勝で現在リーディング7位。目下3連勝中のストーリアにも昇り竜の勢いがある。抽選突破は当然だろう。

　厩舎スタッフが騎乗した最終追いは朝イチの坂路。4F54秒6～1F12秒3の抑えた時計の中に集中力と闘争心が垣間見えた。松山が騎乗した先週CWコース併せ馬は軽く仕掛け、6F84秒3～1F11秒6。パワフルな脚さばきを披露した。たっぷり間隔を空けながら破竹の3連勝。青写真通りの仕上げを杉山晴師は強調する。

　「いいですね。坂路ではそんなに時計が出るイメージはなかったが、しまいしっかり反応して12秒3。馬にまとまりが出て一戦ごとに力をつけている」

　成長を促す、段階を踏んだローテを組めたこと自体、好調厩舎の余裕。思い描く成長曲線に指揮官は目を細める。

　「元々去年の夏に新馬に使う前からセンスある走りを見せていた。それがメンタルがかみ合うようになって成長してきた。精神面の成長と肉体面の成長が大きい。筋肉がついて、しっかりトモ（後肢）を使えるようになった。G1で相手がそろうので、少しでもいい結果を残せるように頑張りたい」

　さすがに3冠牝馬デアリングタクトとの比較は避けたが、狙える位置にいることは意識しているようだ。何より、その松山に勢いがある。先週は毎日王冠（サリオス）から京都大賞典（ヴェラアズール）と2日連続でG2勝ち。今年、手にしたJRA重賞タイトルは9。押しも押されもしない一流ジョッキーだ。勢いに満ちた、このコンビなら抽選突破の強運を追い風に風穴をあけられるかもしれない。

　《抽選組高配提供期待大！》過去10年の秋華賞で出走抽選の末、メンバーが確定したのは14、15、18、20、21年の5回。別表のように、そのうち2回で抽選組が馬券に絡んでいる。15年マキシマムドパリ、20年ソフトフルートとともに人気薄3着で高　配提供にひと役買った。今年は8分の4の確率。引きの強さに加え、古馬相手に2勝クラスを勝ち上がったように能力も備わっている4頭だ。