【秋華賞】幾多の困難乗り越えたスターズオンアース3冠に挑む
2022年10月14日 05:30 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、3歳牝馬3冠レースの最後の関門、秋華賞(G1、阪神競馬場、芝2000メートル)が行われる。
春の2冠、すなわち桜花賞(G1)とオークス(G1)を制したのがスターズオンアースだ。管理するのは美浦の高柳瑞樹調教師。2冠を制するくらいだから、相当高いポテンシャルの持ち主なのは間違いなく、故に苦労も少なかったのかと思いきや、そうではないらしい。
デビュー2戦目の未勝利戦で勝ち上がり、続く赤松賞では1番人気に支持されたものの3着。1、2着が後に重賞戦線で活躍するナミュールとパーソナルハイだったといえ、指揮官は眉間にしわを寄せた。
「競馬だから負けるのは仕方ないけど、全く走り切らないで終わってしまったのが気になりました」
真価の問われた続くフェアリーS(G3)、さらにそのまた次戦のクイーンC(G3)を連続2着。胸をなで下ろしたかと思えたが、今度はまた別の問題が起きていた。
「どちらも右へヨレてしまいました」
ハミを替えるなど手を打ったが、桜花賞出走時は「正直、不安を抱えたままだった」という。
ところがこの大一番でスターズオンアースは結果を残した。道中は厳しいかと思えた位置から末脚を伸ばし、最後はハナ差での勝利。距離が一気に2400メートルに延びたオークスはどうか?と思われたが、今度は2着に1馬身1/4差をつけ、むしろ桜花賞よりも強い競馬で2冠制覇を成し遂げてみせた。
しかし、物語はこれで終わりではなかった。レース後、なんと両前脚の剥離骨折が判明。3冠を前にまたしても大きな壁が立ちはだかったかに思えた。
「幸い、秋華賞には間に合う程度の骨折だったので、今週末を目標にしっかり仕上げました」
高柳瑞師はそう語る。順調に叩かれてきたライバル勢を相手にした戦いは決して楽ではないだろうが、久々でもこちらには2冠馬の意地と底力がある。JRA史上7頭目の3冠牝馬の誕生を期待したい。 (フリーライター)