【天皇賞・秋】(5)ダノンベルーガ 初の木曜追いで変わった!逆襲へ万全、堀師「心身をまとめる程度」

2022年10月28日 05:30

ウッドチップコースで追い切るダノンベルーガ(撮影・郡司修) 

 伝統の一戦「第166回天皇賞・秋」(30日、東京)の出走馬15頭と枠順が27日、確定した。今年のダービーで1番人気(4着)に支持されたダノンベルーガ(牡3=堀)はデビュー以来初めて、堀厩舎のスタンダードである木曜追いを敢行。逆襲へ万全の仕上がりだ。同レースの馬券は、28日午後6時半からインターネットで前売りがスタートする。

 晴天のWコースで追い切ったダノンベルーガ。肉食獣が獲物を追いかけるように首を下げた重心の低い走りで、3馬身先行の僚馬サクラソーレ(3歳未勝利)を追いかける。直線入り口で直後につけ、いつでもかわせる手応え。だが、ゴール板が近づいても並ばない。半馬身遅れてのフィニッシュは4F51秒6~1F12秒1。「調教の量はちょうどいい感じ。今日は息を整え、心身をまとめる程度」と堀師。遅れたというよりは遅らせた印象が強い。

 苦汁をなめた春2冠。古馬を交えた天皇賞・秋での逆襲をかなえるのは2つの変化だ。1週前追いで負荷がかかる猛稽古を消化したのはダービーと同じ。当時との違いは「馬がピリッとして馬体に張りが出た。追い切っても歩様が悪くならなかった」こと。1週前の週末は時計を出す余裕がなかったダービーとは異なり、今回は23日にも坂路調教(4F58秒9)を消化。「休んだリフレッシュ効果があった」と体質強化が明白だ。

 最終追いで帳尻を合わせる必要がないからこそ、堀厩舎にとっての「標準」である木曜追いを選択できたのも大きな変化。ベルーガが当該週の木曜に追い切るのはデビュー以来初めて。春はウイークポイントの右トモのケアに時間をかけるために水曜追いを採用したが、それはあくまでイレギュラー。「水曜追いだとレースまで間隔があるので負荷をかけなければならない。(当該週に)強い調教をしたくない」という指揮官の理念を体現できる状態まで上昇してきた証左が今回の木曜追い選択だ。

 堀師が「ダノンベルーガにとって国内のG1で最も適性が高いと思っている」と力を込める秋の盾。賞金順での出走可否が不透明な中、「この馬自身の状態、他馬の動向を考慮して直行すると腹を決めた」指揮官の決断は正解だった。人事を尽くして天命を呼び込んだ。ダービー1番人気の誇りに懸け、逆襲のランだ。

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