【天皇賞・秋】(1)マリアエレーナ 最内の波乱の使者!前走も内枠から5馬身差の圧勝

2022年10月28日 05:30

厩舎周りで運動するマリアエレーナ

 陣営のトーンがさらに上がった。枠順が発表された午後2時、マリアエレーナは1枠1番に決定。報道陣に囲まれた高島助手は「狙い通り、希望の枠ですね」と笑顔で切り出した。

 1コーナー奥のポケットからスタートする東京芝2000メートルはコースレイアウトの関係から外枠が不利。初角の2コーナーまで126メートルしかなく、かつカーブの角度がきついため、外枠を引いた逃げ&先行馬はスッと内に入りづらい。逆に内枠の先行馬は自分の形に持ち込みやすい。高島助手は「スタートがいいですからね。近走はいい位置を取れています」と好走のイメージを膨らませている。

 思い浮かぶのは同じ1枠(2番)だった前走・小倉記念だろう。好位からロスなく立ち回って直線、はじけるように伸びた。道中2番手から上がり3Fはメンバー最速の34秒6で5馬身差の圧勝劇。「自分から動いて吹っ切れたような走り。充実してきました」と地力強化をアピールする。同じく金子真人オーナーが所有していた18年ダービー馬ワグネリアンのめいっ子にあたる血統。良血が軌道に乗った。吉田厩舎のスタイルで最終追いは火曜に済ませ、この日は坂路1本。「輸送前はリラックスさせる感じ。現状、不安がないのが不安です」と万全の仕上がりを強調した。

 今週からBコースに替わるのも追い風だ。最内Aコースから3メートル外に内柵が設置され、馬場の内側の傷んだ部分がカバーされる。過去5年で2番を含めた1枠は【1・2・0・5】。19年1着アーモンドアイ、21年2着コントレイルなどが好走している。さらにさかのぼれば05年に5歳牝馬ヘヴンリーロマンスが最内枠から14番人気Vを飾った。その年の夏にクイーンS10番人気2着と好走し、連闘の札幌記念で9番人気V。そして天皇賞・秋で大輪の花を咲かせた。夏にきっかけをつかみ、覚醒したあたりは今のマリアエレーナにも当てはまる。G1初挑戦、強豪牡馬が相手でも引けは取らない。17年前のように絶好の最内枠を引いた牝馬が波乱のドラマを演出する。

 ▽05年天皇賞・秋VTR 前年覇者のゼンノロブロイが2番人気以下を引き離し、単勝2.2倍の支持。だが、戴冠は14番人気(単勝75.8倍)のヘヴンリーロマンスだった。最内枠から道中8番手。ゼンノロブロイを外に見る形で脚をためて直線へ。馬群を割って伸びたゼンノロブロイが先頭に立ったダンスインザムードを捉え、そこからヘヴンリーロマンスがもうひと伸びして頭差の接戦をものにした。天覧競馬で馬上の松永幹夫(現・調教師)が天皇、皇后両陛下に一礼したシーンは歴史に残る名場面。4歳牝馬ダンスインザムードが13番人気3着と激走したことも見逃せない。

 《牝馬がトレンド3年連続馬券圏内》過去10年で延べ14頭の牝馬が出走。【2・2・3・7】で19年1着アーモンドアイ、3着アエロリット、20年1着アーモンドアイ、3着クロノジェネシス、21年3着グランアレグリアと現在3年連続で馬券に絡んでいる。今年はマリアエレーナ、アブレイズ、ユーバーレーベンの3頭。4年連続なるか。距離が2000メートルになった84年以降では97年エアグルーヴ、05年ヘヴンリーロマンス、08年ウオッカ、10年ブエナビスタ、19&20年アーモンドアイ以来の牝馬Vを目指す。

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