【フェブラリーS】レモンポップ 圧巻のG1初制覇 取り越し苦労だった距離不安、中2週、テン乗り

2023年2月20日 05:27

<東京11R・フェブラリーS>G1初勝利を挙げたレモンポップ(右)(撮影・村上 大輔)

 新時代の幕開けだ!今年のJRA・G1開幕戦「第40回フェブラリーS」が19日、東京競馬場で行われ、坂井瑠星(25)騎乗の1番人気レモンポップが好位から隙のない走りでG1初制覇を飾った。管理する田中博康師(37)も初戴冠となった。

 距離不安、中2週、テン乗り、初G1。レモンポップがどれほどの逸材であろうと、楽な条件ではない。田中博師も「難しいレースになる」と楽観はしていなかったが、トレーナーの心配は取り越し苦労だった。

 レモンポップは好スタートから道中4番手を追走。もまれても嫌がる面も見せず、馬なりで絶好の手応えのまま直線へ。残り300メートル。満を持して仕掛けた坂井は「レモンポップの脚は上がっていない。これなら負けない」と確信。一瞬で他馬を置き去りにしてなお加速。最後は流す余裕すら見せつつゴール板をさっそうと駆け抜け、追い込んできたレッドルゼルに1馬身半差をつけて快勝した。

 マイルがベストか?いや、そうではない。今回は距離適性うんぬんではなく、実力が違った。違い過ぎた。

 堂々としたレースぶりに坂井は「精神的にどっしりしている。安心してレースができた。僕はただ乗っているだけだった。凄い馬です」と、その素質に興奮気味に語った。田中博師は「1600メートルは一つの壁だった。よく辛抱してくれた。順調にいっていない時期があって心配していたけど、本当に立派な子。大きい舞台の頂点に、この子と立ててうれしいです」と喜びをかみしめた。

 全11戦でいまだ連対を外したことがない新スター。今後が気になるところだが、既に選出されているドバイゴールデンシャヒーン(3月25日、メイダン)について田中博師は「レース後の状態を見極めて。初の1200メートルが海外というのもどうか。オーナーとも相談します」と慎重な姿勢。それでも「スピードがある馬なので、短い距離を走らせてみたい気持ちはある」と将来的なスプリント路線参戦案を明らかにした。「5歳だけどまだまだ成長している。これからが充実期」。末恐ろしい新星が、今後のダート界を熱くさせそうだ。

 ≪ダーレー・ジャパンのスウィーニィ氏「素晴らしい」≫レモンポップを所有するゴドルフィングループのダーレー・ジャパンは、G15勝目。代表取締役社長のハリー・スウィーニィ氏は「レース内容は素晴らしいものでした。距離の不安などが言われていましたが、馬を信じてこのレースを選択して、勝ち切ることができてこの上なく素晴らしいと思います」とコメント。今後については「ドバイに登録はしていますが、あくまで選択肢の一つ。レース後の状態を見て(田中博)先生と相談して決めたい」と話した。

 レモンポップ 父レモンドロップキッド 母アンリーチエイブル(母の父ジャイアンツコーズウェイ)18年2月15日生まれ 牡5歳 美浦・田中博厩舎 馬主・ゴドルフィン 生産者・米国ミスター&ミセス・オリヴァー・S・タイト 戦績11戦8勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億8843万8000円 馬名の由来は「レモンスカッシュ」。

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