福永祐一 万感の国内ラスト騎乗 4万観衆の拍手で別れ「最高の騎手人生」
2023年2月20日 05:22 今月末で騎手を引退し、調教師に転身する福永祐一(46)が19日、東京競馬場で国内ラスト騎乗を終えた。7鞍に騎乗し9RヒヤシンスSをペリエールで快勝してJRA通算2636勝。最終レース後には芝コース上で記念セレモニーが行われ、場内に残った1万人以上のファンが惜別の拍手を送った。
ダービー3勝を挙げた思い出の東京競馬場で迎えた国内ラスト騎乗。最後の勇姿を見届けるべく集まった4万観衆は、福永が本馬場入場するたびに割れんばかりの拍手で迎えた。7鞍(8Rは出走取消)に騎乗し、唯一の1番人気だったペリエールで9RヒヤシンスSを勝利。先頭でゴールを駆け抜けると、場内はG1並みの大歓声。表彰式では「今までありがとう」「やめないで」との声が飛んだ。福永は「次に乗れない騎手に依頼していただき、その思いに応えたかった。近年では一番プレッシャーがかかった一戦を勝てて良かった。馬が驚くくらいのファンの声援も、本当にうれしかった。最後の東京で馬の上からの景色は見納め。しっかり目に焼き付けました」と振り返った。
最終レース後の記念セレモニーには師匠の北橋修二氏、母・裕美子さん、翠夫人、友人で歌舞伎役者の市川團十郎白猿、そして多くの騎手仲間が集まった。福永はインタビュー形式でファンに別れのあいさつ。「最高の騎手人生でした。27年間、一度も騎手という仕事を嫌と思わずにこられたのは、ファンの方々のおかげ」と語った。
騎手としての仕事はまだ続く。今週末はサウジアラビアで騎乗。「まだ全てが終わったわけじゃないから、気は緩めていない」と福永。3月4日は、阪神で改めて引退式も行われる。セレモニーでは一瞬、声を詰まらせたが涙はなかった。「いろいろ振り返ると込み上げるものがあるので、今日は振り返らないよう気持ちをセーブした。引退式では気も緩むから大変かも」と笑った。中東の地で迎える真のラスト騎乗へ。ファンの期待を背に受け、福永は今日、日本を旅立つ。
◇福永 祐一(ふくなが・ゆういち)1976年(昭51)12月9日生まれ、滋賀県出身の46歳。96年に栗東・北橋修二厩舎所属でデビュー。ルーキーイヤーに53勝を挙げ、最多勝利新人騎手に輝く。99年桜花賞(プリモディーネ)でG1初制覇。11年最高勝率騎手、13年最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手などのタイトルを獲得。18年にワグネリアンに騎乗し、19度目のチャレンジでダービー初制覇を成し遂げ、20年コントレイル、21年シャフリヤールと合わせて日本ダービー3勝。JRA通算1万9497戦2636勝、うち重賞160勝(G134勝)。1メートル60、52キロ。血液型B。