【天皇賞・春】吉田哲哉氏 ボルドグフーシュで8大競走完全制覇!“復活の社台”史上3組目の偉業へ

2023年4月26日 05:30

吉田哲哉氏(撮影・亀井直樹)

 G1出走関係者に迫る企画「時の人」は社台レースホース代表取締役を務める吉田哲哉氏(45)にインタビュー。馬主として史上3組目の8大競走完全制覇が懸かる天皇賞・春にボルドグフーシュ&シルヴァーソニックの2頭、同じ日に行われる香港G1クイーンエリザベス2世Cにはプログノーシスのクラブ所属馬を送り込む。16日の皐月賞をソールオリエンスで制した名門クラブに迫った。

 ――父は社台ファーム代表の吉田照哉氏。競馬の仕事に携わる前に印象に残っている馬やレースは?
 「この業界で生まれ育った割にはあまり興味がなく、自分のところの馬を応援するという感じでした。ダンスインザダークがダービー(96年)に出走した時のことは非常に印象的でしたね。競馬場に連れて行かれて見てましたが2着に敗れ、父は放心していました。本当に勝てると信じて疑ってなかったと思います」

 ――大学卒業後、社台ファームに入社。
 「それまで馬を触ったりしたこともなかったので、遅い始まりではありましたが一から死ぬ気になってやりました。馬を世話することから始めて調教をつけられるまでになりましたね」

 ――社台レースホースは天皇賞・春に所属馬2頭が出走。ボルドグフーシュは募集価格2000万円でした。デビュー前の印象は?
 「生まれた時に全部の馬を見ますがスクリーンヒーロー産駒は格好いい馬が多くて、この馬も良かったですね。ただきょうだいの成績にむらがありましたし、控えめな値段にしようということで。ここまでの活躍(総賞金3億円超)には正直びっくりですが会員さんに喜んでいただけていると思います」

 ――昨年秋のG1では惜しくも2着2回。前哨戦の阪神大賞典も2着でした。
 「これほど距離が持つとは想定していませんでした。そこは(宮本)厩舎スタッフのご尽力のたまものだと思います。前走も内容は悪くなかったですし(川田)ジョッキーも手応えをつかんでくれたみたい。自分のレースができる展開になってくれればと思います」

 ――2年連続の参戦(昨年は落馬して競走中止)となるシルヴァーソニックは社台ファーム生産馬の母エアトゥーレや兄姉も活躍。
 「調教で兄のキャプテントゥーレ(08年皐月賞制覇)に乗っていましたが、猛然と他の馬を抜いて走るような馬でした。でもこの血統は猛然と走るけどコントロールは失わない。この馬は兄姉よりスタミナを持っていたおかげで真面目に長いこと走れるんでしょう」

 ――同じ日、香港のG1クイーンエリザベス2世Cにはプログノーシスが出走。前走の金鯱賞で重賞初制覇。そこから優先出走権を手にした大阪杯ではなく、香港を選択した理由は?
 「大阪杯を使うという考えもありましたが、金鯱賞の後にトモがちょっと疲れていると(中内田)調教師さんから報告がありました。大阪杯までは中2週となってしまいますし、香港から招待が来ると信じて待ちましょうと。能力はありますし、今後は大舞台でも期待していますよ」

 ――スターズオンアースは昨年の牝馬クラシックで2冠。クラブ馬活躍の要因は?
 「ここ3年ぐらい、ようやく我々の施設を使ったやり方を考えることができ、山元トレセンの坂路の距離を延ばして馬場の材質を変えてみたりと施設もアップデート。スタッフのレベルも上がっていますし、いい馬も買い続けてきました。総合的にやったことが結果につながっていると思います」

 ――クラブとしての今後の目標は?
 「スターズオンアースのようなクラブの顔になる馬を次々と出せるようにしていきたいですね。それと会員さんがここ数年、コロナの影響でサービスの恩恵を受けられていない部分もありましたので、より充実させていきたいと思います」

 ――天皇賞・春は98年ステイゴールドと20年スティッフェリオの2着が最高着順。今年はチャンスが大きいと思いますが?
 「社台ファームでも調教のやり方とか中期育成の方法を考え、前よりスタミナを生かした馬も増えたかなと思います。それがここに表れているのかなと。ぜひ獲りたいタイトルですね」

 《7競走で計22勝》社台RHは8大競走のうち天皇賞・春以外の7競走で計22勝。サンデーレーシング、金子真人ホールディングス(金子真人氏名義を含む)に続く8大競走完全制覇が懸かる。17年オークス(ソウルスターリング)以降はしばらくG1勝ちがなかったが、昨年はスターズオンアースで牝馬2冠を達成。今年は皐月賞(ソールオリエンス)など馬主別最多の重賞6勝を挙げている。

 ▽有限会社・社台レースホース JRAに馬主登録しているクラブ法人。1980年に設立された愛馬会法人・社台サラブレッドクラブより、現物出資を受けた競走馬の出走・管理を行う。ダイナガリバー、ステイゴールド、ネオユニヴァース、ハーツクライ、スターズオンアースなど数々のG1馬を送り出している。83年から22年間JRAの馬主成績1位を記録し06、08、09年にも1位になった。

 ◇吉田 哲哉(よしだ・てつや)1977年(昭52)8月10日生まれ、北海道出身の45歳。早稲田大学政治経済学部卒業後、社台ファームに入社。現在は社台レースホース代表取締役、社台ファーム副代表。父は社台ファーム代表の吉田照哉氏。

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