【宝塚記念】イクイノックスG1・4連勝 外からねじ伏せた ルメール「むちゃくちゃ強い馬」

2023年6月26日 05:30

<宝塚記念>ウイニングランをするイクイノックスとルメール騎手(撮影・亀井 直樹)

 ファンの熱い期待に応えた。上半期を締めくくるサマーグランプリ「第64回宝塚記念」が25日、阪神競馬場で行われ、1番人気イクイノックスが後方待機から早めに動き、大外強襲で差し切った。海外のビッグネームにまじって現在レーティング129ポンドで単独トップの実績馬が力を誇示。秋に向けて、さらに期待が膨らむ勝利となった。

 これが世界一の走りだ。イクイノックスは3馬身半差で逃げ切った前走のドバイシーマクラシックとは一転、待機策からの強襲劇。打倒王者を期すライバルをまとめてねじ伏せ、最後は後方から迫るスルーセブンシーズに首差でゴールを駆け抜けた。

 凱旋レースで国内最強を証明。ルメールは検量室前に引き揚げる際にガッツポーズを繰り返し「やったー」と口にし、関係者と喜びを分かち合う。「世界一の馬で勝つことができた。本当にうれしい」と汗をぬぐった。

 好スタートを切ったが二の脚でつまずき、瞬時に作戦を切り替えた。「安全に乗りたかった」と相棒を信じ、イメージしていた中団追走ではなく後方2番手から。馬場状態を踏まえ、外めをリズム良く追走し、向正面でジェラルディーナが押し上げても我慢した。そして3角手前から動き出し、直線は大外へ。4角で物見して膨らんでしまったものの、進路さえあれば心配はいらない。相棒を信じ、末脚を引き出すだけだ。エンジンがかかると、そこから先はもう勢いが違う。「阪神の内回りは難しいね。トリッキーなコースで、アーモンドアイで勝った(京都内回りの)秋華賞(18年)を思い出した。むちゃくちゃ強い馬だね」と笑みがこぼれた。

 歴代最多の21万6379票を集めたファン投票1位に応え、木村師は「ホッとしました」と第一声。「とにかく勝つことが全てでした」と続け、緊張感と責任感をにじませた。当週の長距離輸送による精神面への影響を考慮し、栗東滞在を選択。4日に美浦から移動した当初は慣れない環境に戸惑い、ナーバスな面を見せていた。美浦にいる時とは馬房や馬場に向かうまでの雰囲気が違う。「(父キタサンブラックを管理した)清水先生に話をうかがうと、まだまだだなって感じはしますね。少しでも近づければ、と思いました」。そんな偉大な父に追いつけ追い越せで昨年の天皇賞・秋、有馬記念、今年初戦のドバイ遠征を合わせてG14連勝。一段とたくましさが増した孝行息子はG17勝の父が16年3着、17年9着に敗れた夏の仁川で史上8頭目の秋春グランプリ連覇を成し遂げた。

 今後はひと息入れ、秋はジャパンC(11月26日、東京)が最大目標になる見込み。ルメールは「次はもっといい馬場コンディション、広いコースで走れるでしょう。今日は難しい挑戦だったけど、もっと楽な競馬ができると思う」と先を見据えれば、木村師は「歴史的な馬と言っても過言ではない」と目を細めた。無双ロードを突き進み、さらなる高みへ。世界に誇る日本のエースが秋も話題を提供する。

 ◆イクイノックス 父キタサンブラック 母シャトーブランシュ(母の父キングヘイロー)19年3月23日生まれ 牡4歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績8戦6勝(重賞5勝目) 総獲得賞金14億8918万8100円(いずれも海外を含む) 馬名の由来は昼と夜の長さがほぼ等しくなる時。

 ≪アラカルト≫

 ▼騎手&調教師 ルメールのJRA・G1勝利は天皇賞・春(ジャスティンパレス)に続き、今年2勝目で通算45勝目。木村師は昨年の有馬記念(イクイノックス)以来、通算5勝目。

 ▼人気 ファン投票1位の勝利は21年クロノジェネシス、22年タイトルホルダーに続き、3年連続17度目。前年の年度代表馬の勝利は12年オルフェーヴル以来、11年ぶり7度目。

 ▼獲得賞金 JRA競走での獲得賞金は10億3029万8000円となり、史上21頭目の10億円超え。

 ▼種牡馬 キタサンブラック産駒のJRA・G1勝利は皐月賞(ソールオリエンス)に続き、今年2勝目で通算4勝目。

 ▼東西比較 関東馬の勝利は2年連続18度目、関東ワンツーは2年連続7度目。通算成績は関東馬18勝に対して関西馬46勝。

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