日本ダート馬のレベルアップに興奮する一方…国内空洞化の懸念も

2024年2月26日 05:06

ゴール前で差し切ってサウジダービーを制したフォーエバーヤング(AP)

 【記者の目】今年のサウジのダートはアメリカナイズされ、深く、重く、タフに変化した。語弊を恐れず言えば、消耗戦にたけた米国勢に有利な馬場だった。現にサウジC1、3、4着は米国馬。しかし、2着ウシュバテソーロ、5着デルマソトガケが割って入り、日本勢はまさに互角に渡り合った。

 マルシュロレーヌによる日本調教馬の海外ダートG1初制覇(21年BCディスタフ)を皮切りに、海外のダート競馬を席巻する日本馬。ルメールが「サウジCのレベルは非常に高く、年々勝つのが難しい。でも、日本馬は毎年チャンスがある」と話すように、そのレベルは世界に届いている。今年のサウジCデーはリメイク、フォーエバーヤングも躍動。短距離、中距離、世代戦――。ジャンルも問わなくなってきた。

 ただ、この“大航海時代”には懸念も。前述のG3勝ち2頭が獲得した賞金90万ドルはJRAダートG1の1着賞金(1億2000万円)を上回る。ウシュバ陣営が手にした2着賞金350万ドルは、同時期に行われるフェブラリーSを4回勝っても及ばない。国内のレースに魅力がなければ、空洞化は必然の帰結。異国の地で各カテゴリーの最強馬の競演を目の当たりにし、興奮と危機感が交差した。 (競馬担当・田井 秀一)

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