GⅠ初制覇達成の菅原明良 今秋道悪でもう一丁

2024年6月27日 10:00

直筆サイン入りの写真パネルを手にする菅原明

 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週担当する東京本社・田井秀一(31)は23日の宝塚記念でブローザホーンとともにG1初制覇を成し遂げた菅原明良(23)を取り上げる。

 宝塚記念。大外から突き抜けたブローザホーンの鞍上で菅原明の白い歯が光った。雨中の激戦。泥にまみれるライバルとは裏腹に人馬の顔は比較的奇麗に映った。外枠を利した絶妙なエスコート。殊勲の23歳はゴール前の写真を見返すと「G1は子供の頃からの夢でしたから。いい笑顔をしてますね」と笑った。

 物心がついた頃には騎手を志していた。矢野進元調教師と家族ぐるみで親交があり、千葉県の実家からほど近い中山競馬場が“遊び場”だった。レースでは矢野さんの弟子である蛯名正義現調教師の騎乗馬を応援。「14年皐月賞のイスラボニータが凄く格好良かった」。いつか自分も、とG1制覇を夢見た。その夢がかなった翌日、実家近くにある矢野さんの墓前で勝利を報告。「先生がいなかったら、今、僕はここにいませんから」と感謝を伝えた。

 21世紀生まれの騎手がG1を勝ったのは初めて。「まだ実感が湧かずにフワフワしている感じ。G1ジョッキーにふさわしい成績を残せていないですし」と謙虚な姿勢は崩さないが、6年目でJRA通算300勝超えと着実にステップアップを重ねている。2年目のインタビューで「いずれはリーディングジョッキーになりたい」とぶち上げた向上心の塊で、趣味は競馬と筋トレ。ひたむきに騎手道をまい進する。「かなり刺激を受けている」という2年先輩の若き関東リーディングジョッキー横山武とグランプリで首位を争った経験が、若きホープをさらに上のステージへ押し上げるに違いない。

 「“おめでとう”と言われるのがちょっと楽しみだった」という火曜朝の美浦トレセンは期待通り!?の祝福の嵐。師匠である高木師や田中勝春技術調教師が手を差し出し“祝儀”を求めると「握手でいいですか?」とおどけ返して笑いを誘った。「しっかり指導していただいて育ててもらっている」と感謝を伝える弟子に、高木師も破顔しきりだった。もちろん、両親への感謝も忘れない。「母は観戦に来ていて、表彰式でいただいた花束を渡したら泣いていましたね」と孝行息子はうれしそうだった。

 実は…記者は2年前に当コラム欄で「菅原明良の“トリセツ”」と題して、道悪での無類の好成績ぶりを特集。2月に収録したネット番組でも「今年G1初制覇するのは菅原明良騎手。雨の日に」と予言していた。それなのになぜか宝塚記念の馬券を取り損ねた記者のためにも、今秋のもう一丁を期待しています。

 ◇田井 秀一(たい・しゅういち)1993年(平5)1月2日生まれ、大阪府出身の31歳。阪大卒。道営で調教厩務員を務めた経験をもつ。「BSイレブン競馬中継」解説。netkeiba「好調馬体チョイス」連載中。

 ◆プレゼント 宝塚記念をブローザホーンで勝利した菅原明良の直筆サイン入り優勝パネル=写真=を読者1人にプレゼント。希望者は、はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、スポニチ競馬面の感想を記して、〒135―8517 東京都江東区越中島2の1の30 スポーツニッポン新聞社編集局レース部「優勝パネルプレゼント」係まで。7月3日の消印まで有効。当選者の発表は発送をもって代えます。

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