【シルクロードS】9番人気エイシンフェンサー激走V “波乱演出”川又もうれしい重賞初制覇
2025年2月3日 05:20 京都で行われた「第30回シルクロードS」は9番人気エイシンフェンサーがV。鞍上の川又賢治(27)はデビュー9年目で重賞初制覇を飾った。
ゴール板を独走で駆け抜けたエイシンフェンサーの背中の上で川又の白い歯が光った。鞍上の脳裏を駆け巡ったのは馬主、調教師、厩舎スタッフ、そして相棒への思い。「とにかく感謝の気持ちでいっぱい。ここまで頑張ってくれた馬に“本当にありがとう”と伝えたい」。重賞26度目の挑戦で初勝利を射止めた27歳は、感慨深げに同馬の首筋をポンポンと2度叩いた。
ノープランは絆の証だ。13度目のコンビで気心知れた人馬に作戦など不要。鞍上は「スタートが上手で競馬も上手。フェンサーにとっては取れたところがベストポジション。せかさず、引っ張らずに競馬をした」。道中は7番手。前半3F33秒1のハイラップを前すぎず、後ろすぎない理想的な位置で追走した。
直線入り口、力強い右ムチでゴーサイン。残り100メートルで勢いよく先頭に躍り出た。「1頭になるとフワッとするところがあるので、後ろから誰か来ないか心配した」と振り返るが、杞憂(きゆう)に終わる。ゴールでは2着グランテストを1馬身半もちぎっていた。
東京競馬場でレースを見届けた吉村師は「あいつにはずっと調教を手伝ってもらって。僕もうるうる、きました」と感無量。7年前からタッグを組み、ともに16勝を積み重ねてきた鞍上への感謝を口にし、「馬の無事を確認してからですけど、高松宮記念(3月30日、中京)を考えたい」とさらなる大舞台を見据えた。
数々の名スプリンターを輩出した当レースは、18年の勝ち馬である父ファインニードルも同年の春秋スプリントG1制覇への足掛かりとした登竜門。川又は「フェンサーにはずっと期待していて、ひょっとしたら重賞を獲れるかもと思っていた。ここから、馬としっかり歩んでいきたい」。23年夏の1勝クラスVから始まったサクセスストーリー。おぼろげな期待は現実となり、夢は目の前までやってきた。
◆エイシンフェンサー 父ファインニードル 母エーシンパナギア(母の父エイシンサンディ)20年4月29日生まれ 牝5歳 栗東・吉村厩舎所属 馬主・栄進堂 生産者・北海道新ひだか町の木田牧場 戦績19戦6勝(重賞初制覇) 総獲得賞金1億4623万9000円 馬名の意味は冠名+剣術にたけた技能者。
◇川又 賢治(かわまた・けんじ)1997年(平9)11月19日生まれ、東京都出身の27歳。17年3月に栗東・森秀厩舎所属でデビュー。同11日の阪神6RマテラスカイでJRA初勝利。競馬学校33期生で同期に木幡育、富田、武藤、横山武。中学時代は坂井と同級生。JRA通算2357戦121勝。1メートル58、44キロ。血液型A。