【凱旋門賞】オルフェの忘れ物…アロヒアリイで獲りにいく!鈴木剛史オーナー「思ったより早く来た感じ」
2025年10月1日 05:30 日本のホースマンが勝利を渇望する仏G1「第104回凱旋門賞」は5日にゲートインを迎える。日本から参戦するアロヒアリイは国内で重賞未勝利ながらステップレースのギヨームドルナノ賞を制し、出走への扉を開いた。所有する鈴木剛史氏(46)は7年前の本紙インタビューで既に凱旋門賞への熱い思いを口にしていた。大舞台を目前に控え、今回も高木翔平記者が話を聞いた。
――馬主を始めた時から凱旋門賞への思いを口にされ、ようやくたどり着いた。
「ようやくというより思ったより早く来た感じがします。一度も行けないかもしれないというレース。ただ、早いと言ってもこの先で何回も行けるとは思っていないですね」
――周りの注目度も高まってきた?
「たくさんのインタビュー依頼を頂いています。7年前にデビュー前のエクリリストワールをスポニチさんで取り上げてもらって以来、ほとんどそういう機会はなかったです」
――アロヒアリイは22年セレクトセール当歳セリで購入。凱旋門賞を意識しながら選んだのか?
「基本的にはオルフェーヴルの血が入っている馬を探す。一番好きな馬ですし、凱旋門賞制覇に一番近かった馬なので。その中で距離が持ちそうな馬を探しています」
――弥生賞ディープインパクト記念で3着、皐月賞も見どころがあった。
「弥生賞が遠征をはっきり意識するきっかけになった。走るなという内容でした。4コーナーで逆手前になって外に振られ、何度も接触して普通ならそこで終わってしまうのですが…。スムーズに走れれば、この世代でもトップクラスにいられるという感触は得られました」
――遠征初戦は選択肢がある中で、最終的にギヨームドルナノ賞を選択した。
「メンバーレベルが高かったのと、レース間隔がちょうど良かった。ドーヴィル競馬場は平たんであまり雨が降らないので日本馬が走りやすいという理由もありました。右回りが得意とも言えないので、コーナーが緩いのもいいかなと」
――その中であの勝ちっぷり。
「状態が良くない中でのパフォーマンスなのか、それほど状態に左右されることなく力を出せる子なのかは分からないけど、もっと上積みがあるのなら強かったですね」
――前走後は?
「1週間近く休ませました。持ち直して立ち上げて、比較的順調と聞いています。前走よりはいい状態だと報告を受けています」
――初めて競馬に出合ったのは?
「小さい頃からゲームセンターの競馬のメダルゲームをやっていて、小学校の高学年くらいでダビスタをやっていました。その時期にはもうラジオで中継を聞いていたのを覚えています。中学生の時に初めて競馬場に行きました」
――そこから馬主への道へ。
「自然と馬主をやりたいと思うようになりましたが、凱旋門賞を意識したのはやはりオルフェーヴルを見てから。この血統で勝てば日本の忘れ物を獲りにいくという意味もあるし、リベンジできたらドラマチックだと思います。日本の歴代の強い馬たちによって紡がれた血統表ですからね。シンボリクリスエスがいて(5代母の)サンプリンセスも(83年)凱旋門賞2着というゆかりの血統です。(オルフェーヴルの祖父)メジロマックイーンもスタミナがあり道悪が上手で、凱旋門賞に適性があったと思っています」
――日本のファンも盛り上がっている。
「今年はオルフェーヴルやエルコンドルパサーみたいな大エースがいないですけど、それぞれ可能性のある馬。3頭ともステップレースを勝ったのは過去にないことだと思う。馬券も凄く売れるだろうなと思います」(続く)
◇鈴木 剛史(すずき・つよし)1979年(昭54)5月27日生まれ、神奈川県出身の46歳。職業は歯科医師。好きな馬はオルフェーヴルとドゥラメンテ。過去の所有馬は21年プリンシパルS優勝、23年小倉大賞典3着のバジオウなど。JRA通算92戦10勝。
《12年オルフェーヴル差され首差2着》12年10月7日は日本調教馬が凱旋門賞制覇に最も近づいた日だった。後方から進めたオルフェーヴルは直線で脚を伸ばし、堂々先頭へ。ボルテージは最高潮。その瞬間、ソレミアが外から襲いかかる。ゴール前で差されて2着。わずか首差で涙をのんだ。翌年も同じスミヨンを鞍上に迎えて挑戦。3歳牝馬トレヴを前に5馬身差完敗だった。