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20年前のハーツクライ英Kジョージ挑戦は日本競馬の貴重な財産

2026年7月10日 05:30

英国でのハーツクライと橋口弘次郎師(手前)(撮影・平松 さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】8日、美浦でマスカレードボール(牡4、手塚貴久厩舎)とヴェルテンベルク(牡6、宮本博厩舎)が追い切られた。2頭が挑戦するのは英アスコット競馬場で25日に行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)だ。

 日本馬が世界各地で活躍することは、もはや珍しい時代ではない。しかし、その多くは中距離以下のカテゴリー。芝2400メートルとなると、依然として欧州勢の牙城であり、とりわけ地元で行われるこの距離の競走では、日本馬は凱旋門賞(G1)をはじめ、幾度となく苦杯をなめてきた。そんな難攻不落ともいえる舞台に06年、果敢に挑んだのがハーツクライだ。

 前年のジャパンC(G1)はレコード勝ちを収めた英国のアルカセットに鼻差2着。その後、有馬記念(G1)で無敗の3冠馬ディープインパクトに初めて土をつけ、続くドバイシーマクラシック(G1)も制覇。満を持して英国へ乗り込んだ。

 当時、橋口弘次郎調教師(引退)はこう語っていた。
 「ドバイを勝った時、リップサービスで“次はキングジョージ”と言ったら、本当に来ることになりました。入厩先がアルカセットの厩舎(L・クマニ厩舎)だった偶然には驚きましたが、1頭だけの遠征だったので馬がとてもナーバスになってしまいました」

 寂しさから何度もいななき、立ち上がることもあったという。それでも見せ場十分の3着。ディープインパクトを破った実力はだてではないと思わせた。

 あれから20年。同じ社台レースホースのマスカレードボールが、今度はヴェルテンベルクとともに海を渡る。かつてハーツクライが1頭で味わった苦労や経験は、決して無駄ではなかった。先人が積み重ねた挑戦の歴史は、確かに次の世代へと受け継がれている。

 20年前にハーツクライが残した足跡は、いまも日本競馬の貴重な財産だ。その経験を糧にマスカレードボールとヴェルテンベルクが世界最高峰の舞台でどのような走りを見せるのか。期待して見届けたい。(フリーライター)

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