【日本ダービー】燃えよ坂井!史上初の誕生日ダービーVへ 新鮮組22歳「一番勝ちたいレース」

2020年5月27日 05:30

サトノインプレッサと共にダービーに挑む坂井騎手

 選ばれし18人のみが立つダービーの大舞台。サトノインプレッサとコンビを組む坂井瑠星は、藤田菜七子ら活躍が目立つ16年デビュー組の先陣を切って大一番に臨む。ダービー当日の31日は23回目の誕生日。5年目の若武者が狙うのはダービー史上初のバースデーVだ。 

 夢の舞台に立つ時がきた。坂井のもとへ吉報が届いたのは12日の昼。サトノインプレッサを管理する師匠の矢作師から電話で聞いた。

 「驚きすぎて、言葉が出ませんでした。小さい頃から見てきたレースですし、ダービーは特別。一番、勝ちたいレースですね」

 ホースマンなら誰もが憧れる舞台。「いろんな方から“頑張って”と声を掛けてもらってます」。同期には女性騎手最多勝利記録を更新する藤田菜七子もおり、デビューから注目された世代。その中でも一番乗りでダービー騎乗を決めた。

 父は南関東・大井の名手だった坂井英光(現在は調教師)。デビュー前から海外にも目を向け、2年目の秋から約1年間、オーストラリアで武者修行。自ら進んで厳しい道へ飛び込み、腕を磨いた。今年は同期の中でトップの21勝をマーク。それでも鞍上は「結果も内容もまだまだです」と満足はしていない。

 騎手デビュー前年の15年ダービー。競馬学校時代の実習先でもあった矢作厩舎から有力馬のリアルスティールが参戦(4着)。レース当日、スタート地点のゲート裏まで付き添い、その手綱を引っ張った。スタンド前で聞いた大歓声。「鳥肌が立ちましたね。いつかは、この舞台に立ちたいと思いました」と振り返る。

 ダービー当日は坂井にとって、23回目の誕生日。「何年かに一回は回ってきますからね。そういえば、リアルスティールの時も誕生日でした」。勝てば、JRA設立(1954年)以降では、71年ヒカルイマイの田島良保(23歳7カ月)を抜く年少記録(戦前の記録は43年クリフジで勝った前田長吉の20歳3カ月)。5年ぶりとなるバースデー・ダービーの舞台に、坂井は選ばれし18人のジョッキーの一人として堂々と立つ。

 【ルメールは18年樫で】JRAによると、データが存在する1975年以降、誕生日当日のダービーに騎乗したジョッキーはいない。誕生日のG1に騎乗すること自体が珍しく、最近では18年オークスをアーモンドアイで制したルメール(5月20日生まれ)が“バースデーG1制覇”を飾っている。

 ≪ディープ産駒最多6勝並べるか≫ 馬産の奨励を主な目的に創設された日本ダービー。種牡馬最多勝の6勝を誇るのがトウルヌソルとサンデーサイレンス。前者は第1回Vワカタカなど戦前に活躍。後者は3冠ディープインパクトを出した。矢作厩舎はディープ産駒2頭出し。どちらかが勝てば6勝目で偉大な先駆者の記録に並ぶ。

 ◆坂井 瑠星(さかい・りゅうせい)1997年(平9)5月31日生まれ、東京都出身の22歳。父・英光は南関東・大井の元ジョッキーで、現在は調教師。矢作厩舎所属で16年3月デビュー。1年目から25勝を挙げ、中央競馬関西放送記者クラブ賞(関西所属騎手新人賞)を獲得。JRA通算1960戦122勝(JRA重賞3勝)。昨年は平地G1・24レースのうち9レースに騎乗。G1最高着順は昨年の菊花賞5着(メロディーレーン)。1メートル70、48キロ。血液型O。

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