【凱旋門賞】日本馬悲願またお預け…ディアドラ8着 馬場に苦戦「田んぼみたいだった」
2020年10月5日 05:30 フランスG1凱旋門賞が現地時間4日(日本時間同日深夜)、パリロンシャン競馬場で行われ、日本の期待を背負って出走したディアドラ(牝6=橋田)は8着に敗れた。レース史上最多の3勝目を狙った女王エネイブル(牝6=英ゴスデン)も6着に敗れる波乱の決着。地元フランス馬が上位を独占し、昨年3着のソットサス(牡4=JCルジェ)が優勝した。
スタートで1、2馬身遅れたディアドラ。道中は最後方を追走する。勝負の直線は果敢にインへ。一度は伸びかけたようにも見えたが、あまりにタフな欧州一流馬たちとの差は詰まらなかった。「道中は田んぼみたいな経験したことのない馬場がこたえた」とスペンサー。当日は好天だったパリロンシャンだが、週中から降り続けた雨で日本では経験できない粘土状の特殊な状態になっていた。
橋田師は「道中はいい感じで進めて直線もいい手応えだったが、粘っこい馬場をこなせなかった。最後まで気を抜かずによく走ってくれた」と愛馬をねぎらった。当初は同競馬場の6月ガネー賞で起伏が激しい特殊なコースも経験するはずだったが、コロナ禍で外国馬は参戦不可に。さらされた数々の逆風。それでもディアドラは現代の“鉄の女”らしい懸命な走りで駆け抜けた。
凱旋門賞で海外転戦11戦目。異例の取り組みで世界の一流馬たちと渡り合ってきた。師は「牝馬だけど体も精神面もタフ。ニューマーケット(英国)での長期滞在という調整は“彼女だから”という点が大きかった」と目を細める。2月にサウジアラビアで出走した際には主催者から「この国で初めて行われる芝のレースにディアドラのような素晴らしい馬が来てくれたことに心から感謝している」と伝えられた。見る者の心を揺さぶり続けたディアドラの冒険記。大きな区切りとなる「凱旋門賞編」がこの日、幕を閉じた。