【スプリンターズS】グランアレグリア 剛脚V!ディープ産駒芝G1完全制覇に王手
2020年10月5日 05:30 その剛脚、アンビリーバブル!!秋のG1シリーズ開幕戦「第54回スプリンターズS」が4日、中山競馬場で行われ、1番人気グランアレグリア(牝4=藤沢和)が後方一気の差し切りでG1・3勝目を挙げた。鞍上のクリストフ・ルメール(41)は現役5人目となる節目のJRA重賞100勝目。藤沢和雄師(69)は昨年のタワーオブロンドンに続く連覇で同レース歴代最多の3勝目。ディープインパクト産駒は鬼門だったスプリントG1初制覇で、JRA芝G1完全制覇へ高松宮記念を残すのみとなった。
異次元。4角15番手から14頭を一瞬でごぼう抜きした末脚に度肝を抜かれたのは、鞍上も同じだった。「信じられない。厳しい位置取りになって4角で勝つのは無理だと思った。グランアレグリアは凄い。気持ち良かった~」。引き揚げてきたルメールが何度も拳を天に突き上げる。紅潮した顔がその剛脚のすさまじさを物語った。
電撃のスプリント戦で致命的な出遅れ。どれだけ促しても道中はスピードに乗らなかった。「1200メートルのリズムについていけなかった。心配したけど、彼女はパニックになっていなかった」。4角でも後方のまま。逃げたモズスーパーフレアとは10馬身以上の差があったが、前半3F32秒8で飛ばした先行勢の脚があがると同時に大外からただ一頭、アレグリアが飛んでくる。終わってみれば、2着ダノンスマッシュに2馬身差をつける圧勝。父譲りの末脚がさく裂した。
ルメール×藤沢和師は昨年のタワーオブロンドンに続く連覇。JRA重賞100勝のうち22勝を藤沢和厩舎の馬で挙げているルメールに「先生のおかげ」と笑顔を向けられた藤沢和師は「出遅れてヒヤッとしたよ」と苦笑い。「国枝先生の馬みたいに、これからいくつもG1を勝ってもらいたい。デビューからずっと期待してきた馬だから」とG1・7勝馬アーモンドアイを引き合いに出して、今後のさらなる活躍を願った。
史上8頭目のJRAスプリント&マイルG1制覇。ルメールは「馬が大人になって落ち着いて乗りやすくなった。今ならマイルがベスト。ロードカナロアのように、1200メートルも1600メートルもオールマイティーに勝てる」と断言する。次走は春秋マイルG1連覇が懸かるマイルCS(11月22日、阪神)が有力。「次のG1からお客さんも競馬場に入ることができる。僕たちは皆を待っています」。無観客開催下での最後のG1をスペイン語で“大歓声”と名付けられたグランアレグリアが制したのは何かの因果か。異次元のスピードを持つ異色のディープインパクト産駒。ターフで大歓声を一身に受ける日は近い。
◆グランアレグリア 父ディープインパクト 母タピッツフライ(母の父タピット)16年1月24日生まれ 牝4歳 美浦・藤沢和雄厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績9戦6勝(重賞5勝目) 総獲得賞金5億8664万5000円 馬名の由来は「大歓声」(スペイン語)。
≪スプリンターズSアラカルト≫【藤沢和師】97年タイキシャトルを含め3勝目。JRA・G1は通算31勝目。JRA重賞は通算122勝目。
【牝馬強し】牝馬の勝利は15年ストレイトガール以来、通算9勝目。今年の古馬混合芝G1は高松宮記念(モズスーパーフレア)、大阪杯(ラッキーライラック)、安田記念(グランアレグリア)、宝塚記念(クロノジェネシス)と牝馬が勝利。牡馬の勝利は天皇賞・春のフィエールマンだけ。