【菊花賞】コントレイル泰然!未知の距離でも通常調整、万全52秒5
2020年10月22日 05:30 「第81回菊花賞」(25日、京都)で史上初の父子無敗3冠を目指す大本命馬コントレイル(牡3=矢作)が21日、栗東トレセン坂路で追い切った。4F52秒5、死角の見当たらない動きでまさしく万全の態勢だ。秋華賞のデアリングタクトから、2週連続で無敗3冠馬誕生にワクワクできる。これほど幸せな時間があるだろうか。完璧に仕上がったコントレイルが、幸せの結末を約束する。同レースは22日に出走馬と枠順が確定する。
コントレイルは金羅(きんら)助手を背に、開門直後の坂路に姿を見せた。
追い切りの意義はレース前にトップスピード近くまで走ることで心肺機能を整えること。先週までに仕上げてあるこの馬に、速すぎる時計は必要ない。単走で最初1F14秒2。少しずつ加速。荒れ気味の馬場でも脚さばきに一糸の乱れもない。鞍上のフォームが全くブレることなく、ラスト1Fは12秒9でフィニッシュ。矢作芳人師が意図を説明した。
「52秒から53秒の指示。全て予定通り。ラストで12秒9かかっているけど、今の馬場状態を考えれば問題ないと思っています」
全体時計4F52秒5は想定通り。1週前追い切りには福永が騎乗して、CWコース併せ馬で3馬身先着した。1週前に騎手騎乗でCWコース、当週坂路馬なりの調整パターンは皐月賞や日本ダービーと一緒。いつもと同じでいい。3000メートルの一戦を前にしても「調整で変えたところはない。いつも通りの仕事をした」と言い切った。
東日本大震災の11年には3冠馬オルフェーヴルが出た。世界が新型コロナウイルス禍で苦しんだ2020年。牡馬、牝馬ともに名馬が誕生したのは偶然か、運命か。矢作師は「今年は特別な年。その年に歴史的な馬に携われて、こんな幸せはない。自分たちだけの馬ではないと思っています。こんな時代に大きな夢を見ていただけるレースができたら」とメッセージを送った。福永も熱い言葉を並べる。
「このタイミングで2頭、無敗の3冠になる可能性がある馬が出てくるというのは、偶然の一言で片付けられることじゃない、と個人的には思います。そういった馬の存在が、ちょっとでも競馬を見ている人たちの心のモヤモヤを晴らしてくれれば」
父ディープインパクト以来の無敗3冠馬を目指すコントレイルを福永は「まだ成長途上」と言う。皐月賞は半馬身差、ダービーが3馬身差。菊花賞でさらに後続を引き離せば、福永の言葉の裏付けとなるだろう。この菊花賞で、偉大なる父超えの一歩を刻む。
【着差で父超え?】過去の無敗3冠馬が菊花賞で2着馬につけた差はシンボリルドルフが3/4馬身、ディープインパクトは2馬身。共に3冠レースの中で最も着差が小さかった。未知の距離で簡単には勝てないレースだが、コントレイルは着差を広げて“父超え”を果たすか?