【ジャパンC】コントレイル 満点超え120点!「出世の石段」上り詰めた輝き 集大成にふさわしい勇姿

2021年11月23日 05:30

<ジャパンC>しなやかさと力強さを備えた体つきで「無敗の3冠馬」ラストランにふさわしい姿のコントレイル

 今週も満点超えのエンディングだ。鈴木康弘元調教師(77)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第41回ジャパンC(28日、東京)ではラストランとなる昨年の3冠馬コントレイルに破格の120点を付けた。マイルCS優勝で花道を飾ったグランアレグリアにも120点を与えた達眼が捉えたのは…。「出世の石段」を1段ずつ上るように成長を遂げた3冠馬の集大成にふさわしい勇姿と晩節の輝きだ。

 東京都港区のJRA本部に程近い愛宕山には男坂という石段が山頂まで続いています。寛永11年(1634年)の早春、この山の麓を通りかかった徳川3代将軍・家光が山頂に5弁の花を開く美しい梅に目を留め、供の家臣に命じました。「誰か、馬に乗ってあの梅を取って参れ」。目の前には足がすくむ急勾配の石段。家臣団が尻込みしていると、曲垣平九郎という流浪の馬術家が乗馬で石段を上り、梅花を手折って将軍に献上しました。その功により平九郎が高禄で大名家に召し抱えられたことから男坂は「出世の石段」と呼ばれるようになった。講談「寛永三馬術 出世の春駒」で知られる江戸初期の由来話です。

 無敗3冠馬。競走馬の出世頭となったコントレイルも1段ずつ男坂を上るような成長曲線を描いてきました。ラストランとなる今回はその集大成にふさわしい姿。いや、過去最高といえる馬体です。男坂の急階段も上れると思わせるほど、しなやかさと力強さを備えた体つき。父ディープインパクト譲りの柔軟な筋肉はデビューから10戦しても硬くならず、筋肉繊を1枚ずつ増やしていきました。特にトモの筋肉。3冠を達成した後も質量ともに上がり続けた。そのトモのパワーを余さず推進力に換えるのが絶妙な角度でつながった飛節。前肢もそれぞれの部位が滑らかにリンクされている。

 柔らかくて滑らかな体には新たな成長を受け入れる余白が生まれます。抜けたキ甲(首と背中の間の膨らみ)が馬体の完成を告げているにもかかわらず、この柔軟性がさらなる進化を期待させるのです。進化という名の階段を上り切ったその先には新たな上り階段が続いている。そんな錯覚に陥るほど伸びしろを残した馬体は晩秋の日差しを浴びて漆黒の輝きを放っています。

 立ち姿から伝わるのはホープフルSを踏み台に出世の階段を頂上まで上り切ったG1・4勝の名馬にふさわしい風格。尾を悠然となびかせ、目、耳、鼻先は穏やかに前方の1点に集中している。四肢は根を生やしたように大地をつかんでいます。

 マイルCS優勝で女の花道を飾ったグランアレグリアにも共通する晩節の輝きと風格。男の花道・男坂、通称「出世の石段」を上り詰めた先には愛宕山山頂に咲いた梅の5弁花のような5つのG1タイトルが待っています。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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