【天皇賞・秋】シャフリヤール 限界知らず!自己ベスト11秒9、海外経験で心技体磨き

2022年10月27日 05:30

岩田望騎手が騎乗し(レースはC.デムーロ)、坂路でカントル(右)と併せたシャフリヤール

 伝統の一戦「第166回天皇賞・秋」(30日、東京)の追い切りが26日、東西トレセンで行われ、昨年のダービー馬シャフリヤールは坂路を軽快に駆け上がった。今年はドバイシーマクラシック1着、プリンスオブウェールズS4着と海外で経験を積み、心身ともに成長。昨年のジャパンC3着以来11カ月ぶりの国内戦でパワーアップした姿を見せる。同レースは27日に出走馬、枠順が決まる。

 シャフリヤールは岩田望(レースはC・デムーロ)を背に開門直後の坂路を駆け上がった。先導役カントル(6歳オープン)を3馬身ほど追走。残り400メートル付近で僚馬に並びかけ、4F(800メートル)53秒0で併入した。ラスト1F(200メートル)11秒9は自己ベスト。同じく東京に遠征した昨年共同通信杯3着(坂路4F55秒0)、ダービー1着(同54秒4)、ジャパンC3着(同53秒8)の最終追いと比べて、全体時計も最も速い。藤原師が出来の良さを伝える。

 「スピード感としまいをしっかり。レース間隔が空いているので気合を入れながらという感じ。時計も出ているし、いい状態です」

 今年は日本を離れ、海外で経験を積んだ。3月のドバイシーマクラシックでは日本ダービー馬として初の海外G1制覇を果たした。6月には英国G1プリンスオブウェールズSに参戦。アスコット競馬場の高低差は中山の約4倍となる22メートル。最後の直線で余力がなくなって4着に終わったが、指揮官は「競技は一緒だけど種目が違った。あまり悲観はしていないし、挑戦することに意味があった」と前を向く。

 帰国後は栗東近郊のノーザンファームしがらきで調整を進め、9月16日に帰厩した。「絶対能力は確認できている。それを競馬で発揮する体が欲しかったというのが昨年の希望であり、課題でもあった。海外でいい経験ができた。(体に)身が入って、そのあたりをクリアした」。ようやく心技体が整った。メンタルが強化されたことでカイ食いが良くなり、理想の体つきに仕上がった。昨年とは別馬だ。

 厩舎の先輩エイシンフラッシュは10年ダービー馬で、12年天皇賞・秋を制した。名門厩舎が10年ぶりの秋盾制覇へ。師は「いい意味で不安が大きい。(他馬は)ある程度は能力の限界値を把握できて、それを逆算しながらトレーニングするが、シャフリヤールに関しては限界値がどこなのかが分からない。凄い馬であるのは確か」と素質にほれ込む。進化し続けるダービー馬が、今年初の国内戦で世界レベルの走りを見せつける。

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