【マーメイドS】菱田 初コンビのサンカルパで一発狙う!「本場メインに活躍できる騎手に」

2023年6月16日 05:25

サンカルパに騎乗予定の菱田裕二(撮影・亀井直樹)

 デビュー12年目、フレッシュな気持ちでサマーシリーズを迎えた。例年この時季は函館に滞在する菱田裕二(30)が今年は栗東に残って阪神、中京の騎乗スケジュールを選択。初めて過ごす栗東の夏を飛躍へのきっかけにする意気込みだ。名物ハンデ重賞「第28回マーメイドS」は関東馬サンカルパとの初コンビで臨む。

 新たな決意を胸に秘めて迎える夏競馬。デビュー12年目の菱田は例年、北海道シリーズを主戦場にしているが函館開催のうちは栗東に残って阪神、中京で騎乗する。もちろん、この選択には目的があった。「これまで北海道以外でも3場開催の際はローカルを拠点にしていますが、近い将来は本場をメインに活躍できる騎手でありたいと思っているんです。だからローカルで騎乗している時も常々、本場で通用する乗り方を意識していました」。現状に満足することなく日々、腕に磨きをかけてきた。

 今年27勝でリーディング17位。意識の高さが実を結びつつある。6勝を挙げた春の福島は永島と1勝差で惜しくも開催リーディングを逃したが続く新潟は8勝の固め打ち。開催最終日の8、10、12Rの3勝で首位・佐々木を逆転し、開催リーディングに輝いた。しかも開催8日間のうち2日間は他場(東京)で騎乗したから値打ちがある。「多くの有力馬の騎乗依頼を頂いたことに感謝しています。さらにステップアップしないといけないし、その意味でもリーディングを獲れたことは大きな出来事になりました」と振り返った。

 荒れるハンデ重賞・マーメイドSは元騎手の先輩・田中博師が管理するサンカルパを依頼された。関東馬ながら先月31日に美浦から栗東に移動。CWコースの1週前追い切りで初コンタクトを取り、直線ビシッと追って6F79秒3~1F12秒6と負荷をかけた。「口向きが難しいと聞いていたけど乗りやすいし、いい動きでしたよ。レースの映像で見た印象より、いい感触をつかめました」と手応え十分。これまで田中博師の管理馬で【3・3・2・20】とコンスタントに馬券に絡み、10番人気バジオウで3着に入った2月の小倉大賞典は記憶に新しいところだ。

 週初めに発表されたハンデは51キロ。この重量での騎乗は20年函館記念(スズカロング15着)以来、約3年ぶりとなる。毎年このレースで話題になる減量については「たまたま(51キロに)乗らなかっただけで、いつでも乗る準備をしています」と話すように対策はバッチリ。「あらかじめ食事制限をしながら、レースの日に苦しくならないように時間をかけて(体重を)落としています。コンディションは整っていますよ」と力強い言葉が返ってきた。前走で2勝クラスを勝ち上がった伸び盛りのパートナーとともに目立つ場面で存在感をアピールする。

 《サンカルパは輸送考慮、陣営「いい動き」》栗東滞在の関東馬サンカルパはCWコース単走で最終追い。馬場の内めからしまいをサッと伸ばし、5F66秒1~1F11秒2とシャープな脚さばきで駆け抜けた。久川助手は「栗東から阪神まで輸送距離が短いので今週も軽くなり過ぎないようにしました。いい動きで予定通りの調整ができました」とうなずく。阪神2000メートルの舞台については「中山(2勝)で勝っていますし、コース形態が似ているので、こなせると思います。ハンデ(51キロ)を生かして頑張ってほしいですね」と期待を寄せた。

 ◇菱田 裕二(ひしだ・ゆうじ)1992年(平4)9月26日生まれ、京都市出身の30歳。中学1年時の競馬観戦をきっかけに騎手を志す。12年3月に栗東・岡田厩舎所属でデビュー。同4月14日の阪神1RトーブプリンセスでJRA初勝利。競馬学校28期生で同期に中井裕二、長岡禎仁、原田和真。JRA通算6736戦458勝、うち重賞は18年阪神C(ダイアナヘイロー)、21年福島記念(パンサラッサ)、22年ダイヤモンドS(テーオーロイヤル)など5勝。1メートル60、52キロ。血液型B。

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