英“里帰り”1年…中内田師勢い止まらず

2023年6月16日 05:05

 【競馬人生劇場・平松さとし】ちょうど1年前、中内田充正調教師と英国のニューマーケットで食事をした。同師の管理するグレナディアガーズが、かの国伝統のロイヤルアスコット開催に参戦。プラチナジュビリーS(G1)に挑戦したため、現地入りしていたのだ。

 そもそも同師と初めて会ったのも欧州でのことだった。20年以上前の話で、彼はまだJRA入りするずっと前。英国で馬学科のある大学に通う学生だった。

 在学中は毎朝、近くの厩舎で作業をしつつ、調教にもまたがった。さらにアマチュアライダーのレースにも騎乗したという彼は、次のように語っていた。

 「リングフィールド競馬場で2勝しました。また、フランスでのレースにも乗せてもらいました」

 そんな彼と後に再会したのは米国。日本ではネオユニヴァースが2冠を達成した03年、彼は名門R・フランケル厩舎でエクササイズライダーとしてエンパイアメーカー(G1・ベルモントS勝ちなど)などの調教をつけていた。

 帰国後、JRA入りし、調教師となり、14年に開業してからの活躍は皆さんご存じの通り。17年にダノンプレミアムで朝日杯フューチュリティSを制しG1初制覇を飾ると、20年の同レースをグレナディアガーズで優勝。先述した通り昨年は同馬で英国に遠征。残念ながら結果は24頭立て19着に終わったが、師にとっては第二の故郷への里帰りとなったわけだ。

 そんな中内田師の昨今の活躍がまた素晴らしい。昨秋セリフォスでマイルチャンピオンシップ(G1)を勝つと、1カ月としないうちにリバティアイランドで阪神ジュベナイルF(G1)を優勝。同馬はこの春、桜花賞(G1)とオークス(G1)も制し、牝馬3冠に王手をかけている。

 さて、今週末は東京でユニコーンS(G3)、阪神でマーメイドS(G3)が行われる。先週(11日)終了時点で27勝を挙げ、リーディングトップの中内田師は前者にグレートサンドシー、後者にはビッグリボンを出走させる予定だ。いずれも有力馬だけに東西同日重賞制覇があるかもしれない。注目しよう。 (フリーライター)

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