【秋華賞】シンリョクカ 恋が実る秋!急成長ぶりに熱視線

2023年10月11日 05:30

シンリョクカ

 牝馬3冠最終戦「第28回秋華賞」(15日、京都)。G1水曜企画「馬(バ)チェロレッテ」では前線記者が買いたい馬の魅力をアピールして「真実の馬券」に迫る。美浦で奔走する万哲こと小田哲也記者は出走すれば、牝馬3冠レース皆勤のシンリョクカに熱視線。東京土曜の府中牝馬Sと両にらみながらも“あの馬”を逆転できるとすれば…。それほどの急成長ぶりだ。

 3日間開催後の10日の美浦は全休。重賞出走予定馬など事前申請した馬だけが調教する。視線の先には、Bコース(ダート)を軽快に流すシンリョクカの姿があった。曇天なのに毛ヅヤはピカピカ。春よりもふた回りは大きくなった体に、実は数週間前からくぎ付けだ。

 ただ、先にお断りしておこう。秋華賞出走が決まったわけではない。厩舎まで歩くと、海外出張中の竹内師に代わり、山縣助手が丁重に応対してくれた。「先生からは記者の方には、未定(両にらみ)と伝えてくださいとのことでした」

 古馬相手の府中牝馬Sも検討中という。とはいえ、既に乗りかかった船。竹内師が騎乗した4日の1週前追いが素晴らし過ぎ、以下は先週厩舎を訪れた時の同師の話を…。

 「ここまでしっかりやれたのは初めて。背が高くなって、カイバもよく食べるようになった。精神的にも落ち着きが出ました」

 元来が「気が良過ぎるぐらい」の性格。仕上げに苦慮せず、競馬も全力で走り切る。「本当はトライアルを使えればいいけど、成長段階ということもあって、そうもできなかった」。これが今までのレース選びの経緯。結果的に昨年12月阪神JF(2着)も含め、桜花賞→オークスとG1だけ3戦連続で使っているのは、他にリバティアイランドだけの豪華ローテに。

 菊花賞馬サトノダイヤモンド産駒の第1世代。指揮官は初めて出合った時を鮮明に覚えている。生まれて間もない20年3月初旬の当歳時。毎年足を運ぶ生まれ故郷の下河辺牧場(北海道日高町)でひと目ぼれだったという。「手先が軽くて、バランスが良くて、本当にいい馬でした。オーナー(由井健太郎氏)にもぜひとお勧めしました」。ちょうど、半姉インターミッションがアネモネS(桜花賞TR=20年3月15日)を勝つ直前。「お姉さんが勝つ前に購入できたので、これだけの血統馬なのにそこまで高い値段でなく購入できたのも良かったと思います」と思い出を語る。

 実は重賞のダブル登録はこれが初めてではない。阪神JFの時、1週後の朝日杯FSも念のため登録していた。阪神JFの抽選を無事突破して晴れて出走。リバティに続く“幸運”の銀メダル(12番人気)を呼び寄せた。「オークス(5着)は外枠が厳しかったですが、能力を再認識しました。それにお父さんの子は夏を越して成長もしている馬も多いようなので」。

 秋の京都は父サトノダイヤモンドがG1初制覇を飾った菊花賞(16年)を制した思い出舞台。秋華賞か?府中なのか?個人的レース希望は心にしまって「心力歌」に実りの秋が訪れることだけは断言していい。

 《いつも気になる孝行娘》16年菊花賞、有馬記念を制したサトノダイヤモンド産駒は現3歳が第1世代。秋に入り、成績を上げてきた。代表はサトノグランツ(獲得賞金1億2806万円)。春の京都新聞杯で同産駒重賞初V、秋初戦の神戸新聞杯で重賞2勝目を挙げ、菊花賞の有力候補に。シンリョクカは4838万円で同産駒賞金第2位の孝行娘だ。竹内師も産駒の活躍は気になる様子。「だんだんと力をつけていく、スロースターターが多いのでしょうか。夏頃から活躍が目立ちますね。それに距離が延びていいようです」と成長を愛馬に感じている。

 《「心力歌」美しき由来》シンリョクカの馬名の由来はJRA公式サイトで「心力歌」と記されている。オーナーの由井健太郎氏の出身校・成蹊学園大学で毎日音読される心力歌(こゝろの力)に由来する。学園創立者の中村春二氏が1913年(大2)、当時成蹊実務学校の教師だった小林一郎氏に記述を依頼して作成した、精神修養のための8章からなる漢文調の美文で、心の働きの霊妙偉大なことを歌っているという。竹内師は「成蹊学園の公式サイトに詳しく出てますので」とPR。シンリョクカの強さの源が分かるかも。

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